2023 Fiscal Year Annual Research Report
保育者の力量形成におけるマイクロティーチングの研究
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19K02981
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
金子 智栄子 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70257442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロティーチィング / 保育者研修 / 力量形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育経験年数12年のベテランが保育者役、実習を修了した保育科学生が幼児役となる簡易型マイクロティーチング(簡易型MT)を、観察法と質問紙法を用いたマルチメソッドアプローチにより有効性を検証した。観察法では、アドバイザーによる行動評定の結果から、簡易型MTを通して即時に保育技術が向上することが示された。保育者の力量は『態度』『技能』『技能向上』『視野の拡大と深化』に属する力量の形成が認められた。研修直後の自由記述から、自分の保育を振り返り、保育者相互の学びの機会となること、繰り返しが修正に役立ち、さらに自分の保育を丁寧に組み立てる動機づけになることが示された。1ヶ月後の追跡調査からは、幼児への個別理解を高めて、苦手を克服する援助が増えたこと、自分の言動が幼児に与える影響について見直すようになったことが示されていた。これらの結果から、ベテラン保育者の保育技術をより一層高めて、専門的な力量形成を促していく上で、簡易型MT研修が有効であることが示された。 実際の幼児を指導する「MT」と模擬保育を用いた「簡易型MT」について、保育科学生を対象に絵本読みにて効果を比較したところ、実際の幼児では行動の予想がつかず緊張するという意見があり,幼児行動への対応にはMTが有効であると考えらた。簡易型MTの体験が,後のMTにおける幼児行動を予測する際に生かされており,2つの異なる実施方法を併用する効果も示唆された。 なお、熟達化については、新任は指導手順が説明不足で幼児役が混乱しやすく,ベテランは指導手順は充実しているが,熟達者のように幼児役が主体的に行動できる工夫が必要であることが示された。 研究期間全体の成果として、保育者を対象にした(簡易型)MT研修は保育者の力量を向上させ、効力感を高めてストレスを低減し、その効果は約1ヶ月後の追訴期調査においても確認されて保育現場にも波及することが示唆された。
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Research Products
(5 results)