2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing an Educational Environment that foster Agency of Students based on Actor-Network Theory
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19K02984
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
岸 磨貴子 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (80581686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 征彦 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (60337615)
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 准教授 (70632602)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アクターネットワーク論 / 地域連携 / ディベート / 学習環境デザイン / 大学連携 / オンライン研修 / 教材開発 / 自己エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では、コロナ渦の影響を受けながらも、文献調査、アクションリサーチ、教材開発を予定どおり実施することができた。 文献調査については、青山を中心に、教育におけるアクターネットワーク論の文献調査を進めた。国内の文献について、計213論文をリストアップし、研究動向を調査した。その結果、社会学や科学技術社会論といった、アクターネットワーク理論が生まれた領域以外にも、心理学、認知科学、人工知能研究、人文地理学など、幅広い分野で援用されていることがわかった。また、1998年から2014年までに109論文が発表されていたのに対して、2015年から2020年までに104論文が集中しており、ほぼ半数はこの6年間に刊行されたものであることも判明した。 アクションリサーチは、オンラインで2つの実践研究を行った。ひとつはオンラインでの地域連携実践である。明治大学と明星大学の学生が、屋久島の高等学校の教員らと連携してSDGsの教材開発を行った。本実践を通して、学生の地域連携プロジェクトにおける学びの動機の変化や学び方への意識の変化について調査を行った。次に、明治大学と明星大学の学生によるオンラインディベート大会の実践を調査した。学生らはオンラインでディベート大会を行うためにのルールや教材を開発するなど開催方法の設定を協議し、実行した。学生が実践のためにいかにICT環境を再構築したかに視点を当て調査を行った。 教材開発については、アクターネットワーク論の観点から自己の場の創造について記述する自己エスノグラフィーの教材開発に着手した。学生自らが自己エスノグラフィーを制作できるようになることをめざす。自己エスノグラフィーの成果発表の方法として、Art based Designの文献調査もはじめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度では、コロナ禍の影響を受けながらも、文献調査、アクションリサーチ、教材開発をオンラインで実施し、おおむね予定どおり研究を進めることができた。 文献調査について、教育におけるアクターネットワーク論の文献調査をオンラインを中心に行った。複数領域での知見を整理し、本研究の位置づけを確認することができた。 アクションリサーチについては、計画していた国内フィールドワークについては、コロナ禍のため移動が困難であったために、オンラインで実施することになった。学生の主体的な活動の創出として予定していたディベート大会も同様で、オンラインで実施することになった。オンラインで実施したことによって、ICT環境をいかに再構築させながら実践を創造するかについて研究ができたため、対面であっても、オンラインであっても本研究テーマに則した研究を実施することができた。 教材開発について、前年度から取り組んでいるオンラインインプロの教材開発を進めている。開発した研修、教材をオンラインでの研修で実際に活用し、参加者からのフィードバックを受けながら、修正を加えて完成にむけて進めている。加えて、自己エスノグラフィーが、エージェンシーを捉えるひとつの有用な方法であると考え、そのための教材も開発している。加えて、研究知見の発信方法として、Art Based Researchについて新たに、調査をはじめた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、研究の成果をまとめ、発信していく。研究成果のまとめを学会、研究会などで発表し、学術的なフィードバックを受けて完成させていく。エージェンシーを高める学習環境デザインはオンライン授業を実施する教員にとっても意義のある知見であるため、実践的な観点を含めた教材も配信していく。 2021年度の研究計画にある3つの研究については次の通り進める。 文献研究については、国内の文献についてさらに精査し、上述したようにプロセスとしてエージェンシーを記述する視座について、検討していく。また、社会物質性研究など、アクターネットワーク理論を拡張的に展開している試みや、質的心理学における研究方法、記述方法の開拓についても視野に入れながら、アクターネットワーク理論にもとづいた教育工学研究の可能性を拡大していきたい。またこれに関する文献研究の会議をオンラインで実施し、学術交流の場も引き続きもうけていく。 アクションリサーチについては、2020年度同様にオンラインでできる実践へと予定を変更していく。新型コロナ感染状況が改善されれば、オンラインで予定しているアクションリサーチに加えて、11月に屋久島にてフィールドワークを実施する。 教材開発については、実践を通して検証し、さらに改善をしながら完成に向けて進める。月に1度継続的に開発した教材を活用したオンライン研修を行い、検証と改善を重ねて、2021年度に完成をめざす。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響をうけ、予定していた国内外出張をとりやめ、オンラインビデオ会議を使って実施したため、予定していた予算の一部を執行せず、次年度に繰り越しすることになった。しかしながら、2020年度に計画をしていた研究についてはおおむね予定どおり進めることができた。2021年度もオンラインでの会議やオンラインでの実践が続く見通しであるため、研究に必要な機器やソフトの購入に次年度当てていく予定である。
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Research Products
(11 results)