2019 Fiscal Year Research-status Report
学校教育現場のためのスポーツ指導支援システムの開発
Project/Area Number |
19K02990
|
Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
丸山 智章 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (00455114)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | スポーツ指導支援 / 運動測定 / 加速度センサ / モーションキャプチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学校教育現場のためのスポーツ指導支援システムの開発を目的とする。加えて,ICT機器の導入による,教育効果ならびに教員負荷の軽減効果を検証するものである。その実現のため,今年度は,スポーツ動作測定のための測定システムの検討を行った。具体的には,従来のカメラによる測定に加えて,被験者に加速度センサを装着してもらい,スポーツで重要になる身体の使い方の測定法を検討した。 測定対象は野球のバッティング動作とし,被験者の背中と腰の2カ所に無線通信型の加速度センサを貼付した。その状態で,バッティング動作を行い各部位の加速度を測定した。その加速度データからそれぞれの加速度のRMS(Root Mean Square)値を算出し,バッティング動作時の体の動きを解析・評価した。本研究では,1) 腰を正しく使えているか,2) 背中を正しく使えているか,3) 腰から背中の順で動いているかの3つを評価基準とし,腰と背中の加速度のRMS値の最大値を用いて1,2を評価,動き出しのタイミングを用いて3を評価した。さらに,各評価基準に応じた得点(各0-2点,計6点満点)を付け,被験者に提示することとした。野球歴3年以上の経験者3名,初心者3名に対して,評価実験を行ったところ,経験者の平均点は5.33点,初心者の平均点は2.67点となった。また各評価基準においても経験者と初心者で大きな点数の差が見られた。これは経験者が3つの評価基準をみたす正しい身体の使い方ができていること,また経験者と初心者の違いを正しく測定,評価できたことを示している。 なお,本研究成果は,2019年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会において報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は,スポーツ動作の測定ならびに評価法の検証であった。本研究においては,モーションキャプチャシステムならびに前述の加速度センサを利用したスポーツ動作の測定法についての検討を進めており,サッカーのインステップキックや野球のバッティング動作などの基本的な動作の測定および評価が可能であることを確認している。また,その結果を分かりやすく点数表示などで提示できることを確認している。以上から,当初の目標を概ね達成できたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,提案する指導支援システムを利用し,実際の指導現場において教育・指導法ならびにその効果について検討する必要がある。そこで今年度,小学生以下を対象とした体操教室にご協力をいただき,体操技を対象とした指導支援システムを構築し,試用を始めている。具体的には,初級技の中でも指導が難しい側方回転の動作をモーションキャプチャシステムにより測定し,評価するものである。評価結果は,小学生以下でも分かりやすい動画および点数表示で示すことができる。被験者からは概ね分かりやすいという回答を得ているが,実際にそれによる改善効果を図るに至っていない。測定データを用いた教育効果の評価ならびに効率的な測定データの活用法について検証を進める予定である。 ただし,コロナウィルスの影響により,現在,体操教室自体が休止の状況にある。指導現場での検証は大幅に遅れる見込みである。その間,運動測定システムの改善,評価法の検討を重ね,実験の再開準備を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
購入予定であった測定機器が当初よりも安価に購入できたため。残余は次年度,新しい測定システムの構築に使用する計画である。
|