2020 Fiscal Year Research-status Report
モバイル端末を利用した在日外国人向けの防災教育システムの構築と評価
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19K03002
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
汪 曙東 島根大学, 学術研究院教育研究推進学系, 准教授 (50435046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汪 発武 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (10324097) [Withdrawn]
小暮 哲也 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (70534006)
岩田 淳 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (00280438)
中園 博美 島根大学, 学術研究院教育研究推進学系, 准教授 (40314611)
畠山 久 法政大学, 情報メディア教育研究センター, 講師 (20725882)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在日外国人 / モバイル防災教育コンテンツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本における「災害弱者」と呼ばれる在日外国人向けの多言語防災教育モバイルラーニングシステムの構築と実用化を目指している。2020年度本研究課題の遂行状況とその成果について,以下に報告する。 (1) 在日外国人向けの防災意識および防災技能現状の調査を行った。2020年度は、新型コロナ感染症が蔓延したため、対面調査ができず、2020年5月から6月にかけて、在日外国人向けのオンライン防災現状の調査を中国語、日本語、英語の3言語で行った。調査で得られたデータを分析し、2020年11月に行われたICCE2020(28th International Conference on Computers in Education) で発表した。在日外国人は自分自身の防災知識や防災技能に自信がなく、自然災害はある程度日本での滞在計画に影響に与えていることが調査で分かった。また、88%もの在日外国人の被調査者は災害ための準備を一切していないことも判明した。 (2) 外国人向け防災教育コンテンツのやさしい日本語版の作成に着手した。調査で明らかになった在日外国人の防災意識、防災技能の現状データに基づき、収集した膨大な防災資料を参考にし、独自の在日外国人向け防災教育コンテンツの日本語版を作成した。日本でよく起こる災害:地震、洪水、暴風雨、暴雪、火災などについて、災害発生のメカニズム・仕組み、発生時の現象、防災対策を、わかりやすい日本語で紹介した。 コンテンツはスマートフォン向けのウェブサイトに載せ、公開している。 (3) やさしい日本語版のコンテンツを修正しながら、アプリの開発に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、やさしい日本語版のコンテンツを作成後、AR, VRのコンテンツも作成する予定だったが、新型コロナ感染症の影響で、研究の協力者と対面で情報交換ができず、動画作成、撮影などの進行に影響があった。また、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、AR, VR作成用の機器、デバイス、ソフトなどの調達も遅れた。2021年度は最後の研究年度となり、今年実施出来なかった部分を2021年に完成させると計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度になっても、新型コロナウィルスの感染の収束の兆しがみられず、当初予定していたシステムを広範囲での公開、利用者から情報収集などが難しくなると予測される。また、成果発表の場としての国内外の学会も中止等の措置が取られつつあるため、システム改善についても、専門からの意見収集が困難になる。このため,2021年度の研究実施計画と成果発表については,当初の計画を必要に応じて修正しつつ遂行する予定である。本年度の研究実施計画において下記のことを予定している。 (1)やさしい日本語版のコンテンツを充実させ、サイトとアプリを一般公開。ログデータの分析や、オンライン調査による、利用者からのフィードバックを利用し、システム及び教材の改良、改善を行う (2)2020年度実現できなかったAR, VRのコンテンツの開発に着手する。特に、防災対策の重要な技能部分はAR、VRで実現させたいと考えている。 (3)英語版、中国語版コンテンツ開発をする。日本語版を基に、海外の災害情報、防災政策、取り組みなどを考慮した英語版、中国語版の防災教育教材を開発し、無料で公開する。 (4)学会での成果発表は難しいが、システム(アプリ)を利用した在日外国人、研究分担者を集め、 オンライン情報交換会を行う予定である。開発したシステムの運用、評価 日本語・英語・中国語版の教材、防災教育、モバイルラーニング、言語教育の観点から総合評価 を行い、その結果を基に、外国人向けモバイル防災教材の開発モデルの提案を行う。以上は可能な限り計画どおり遂行していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の中、2020年の予定していったAR, VRコンテンツの作成ができなかったため、委託費、IT機器購入において費用を使わなかった。また、学会はオンラインに移行したため、その部分の経費も節約できた。以上の経費を今年度に繰り越し、2021年度に学会発表、アプリの開発、改善、コンテンツの充実に使用する予定である。
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