2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03007
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
小川 仁士 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (60259926)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情報技術基礎教育 / CSアンプラグド / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元(2019)年度は,当初設定した4つの学習テーマの中から,「公開鍵暗号方式」について学習することができるCSアンプラグド教材を,新たに考案し制作した。 本学習テーマにおいては,公開鍵暗号方式の情報技術上代表的な活用例となっている「暗号化通信」と「ディジタル署名」を同時に,かつ体験的に学習できることを目標にしている。これを実現するにあたっては,双対性(公開鍵で暗号化した暗号文は秘密鍵でしか解読できず,その逆もまた然りという性質)を持った鍵を教具として使うことが最良である。 このような特殊な性質を持つ鍵を模擬できるような道具を長年探して来たが,現実には存在しないことがほぼ確信できたので,シリンダー錠などの鍵の仕組みを参考にしつつ,鍵の構造から新たに設計し,試作品を完成するに至った。 具体的には,宝石箱のような形状をしており,4つの鍵穴を持ち,それぞれの鍵穴に適合した双対性を持つ鍵が4組あり,箱に鍵をかけたり外したりできる仕組みになっている。もちろん,対になった鍵はそれぞれ適合した鍵穴で鍵をかけることはできるが,一度鍵をかけると外すことはできない。対になった鍵でないと鍵を外すことができない構造になっている。この鍵の性質を機械的な仕組みで実現するにあたっては,何度も試作を重ねることが必要だったので,今年度はそれを見越して3Dプリンタの導入と材料の購入に研究助成金の大部分を費やした。 次年度はこの教材を用いて実験授業を行い,学習効果を確認していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初設定した4つの学習テーマのうち,恐らく一番難題であろうテーマから取り組んだため,教材考案と制作にエフォートの大部分を費やすことになった。また,研究成果を学外へ公表する計画もあったが,COVID-19感染症拡大の兆しが見えたので,成果発表については次年度以降に見送ることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
依然としてCOVID-19感染症拡大の懸念が拭い去れない状態が続き,次年度も成果発表を対面公式の場で行うことはできそうにない。このような状況からオンラインで成果発表できる場があれば,積極的に発表することを計画したい。また,残りの教材も逐次完成させていきたいが,新しい生活様式になじむような工夫も施す必要があるように感じている。実験授業についても,授業設計の段階からそのような考え方を導入していこうと考えている。
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Causes of Carryover |
研究成果を学外へ公表する計画もあったが,COVID-19感染症拡大の兆しが見えたので,成果発表については次年度以降に見送ることにしたためである。次年度使用額は,研究成果の公表のために使用する予定である。
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