2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Pedagogy and Learning Materials for Improving Health Literacy of Senior Citizen
Project/Area Number |
19K03012
|
Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
三輪 眞木子 放送大学, 教養学部, 特任教授 (90333541)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 高齢者 / ヘルスリテラシー / デジタルデバイド / 教育モデル / 健康寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療関係者を対象とするインタビュー調査は,COVID-19の蔓延に伴い協力者の確保および対面インタビュー実施が困難となり,電話やWebによるインタビューに切り替え,目標の10名のインタビューを2020年6月に完了した.結果の分析に基づき,高齢者を対象とするアンケート調査を,2021年2月に実施した.並行して実施する予定であったがん患者会メンバーのグループインタビューは,OVOD-19 の蔓延のために実施の目途がついていない. 【医療関係者のインタビュー調査】医療者10名を対象にインタビュー調査を実施した。健康維持に前向きな高齢者は家族との関係が良く,健康への関心が高く,趣味等の楽しみや目標を持ち,話し好きで仲間がいる.ヘルスコミュニケーションが取れている高齢者は治療がうまくいっており家族のサポートがあり,健康医療知識を得ている.治療に関する意思決定に積極的に参加する高齢者は,主体的に健康医療情報を獲得し,死への抵抗感を持つ.健康寿命を維持するために高齢者に心がけてほしいことは,かかりつけ医を作る,運動する,家族と親密につきあう,自分の健康に関心を持つ,趣味や目標を持つ,栄養バランスの良い食事を摂る,外に心を持ち仲間とともに取り組む.医療関係者のインタビューの分析結果から,定年で仕事を辞めた後,地域と関連せずに孤立する男性の存在と,非都市圏の高齢者にデジタルデバイドによるヘルスリテラシーの課題があることが明らかとなった. 【高齢者アンケート調査】2021年2月9日までに67件の調査票を回収し,欠損値のない65件の分析を実施した高齢者アンケート調査結果から,ICTスキルとヘルスリテラシーレベルには有意差が認められたが,年齢・性別によるヘルスリテラシーレベルには有意差が認められないこと,ヘルスリテラシーレベルと生活習慣の間には有意な相関が認められないことが明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、2019年度に対面で実施予定であった医療関係者を対象とするインタビュー調査がCOVOD-19蔓延のため対面インタビューから電話やWebによるインタビューに切り替えたものの,インタビューへの医療関係者の協力を得るのに困難を極め,2020年度上半期(2021年7月)までずれ込んだ.そのため,医療関係者インタビュー調査に3か月の遅延が生じた.医療関係者インタビューの分析結果に基づき2020年5月に実施予定であった高齢者アンケート調査の実施も,2021年2月にずれ込んだ.また,2020年度に実施予定であったがん患者会メンバーのグループインタビュー調査は,COVOD-19の蔓延のため,いまだに実施の目途が立っていない.研究実施の遅延に伴い,研究成果の発表にも遅延が生じている.多くの学会等がウェブ開催または中止となり,当初の研究発表計画予定にも遅延が生じている。本研究のテーマは健康医療に関連しており,人間を対象とするインタビュー等の質的研究手法を駆使する計画であるため,COVOT-19の状況によって研究計画が左右されることはやむを得ないと認識しているが,研究計画を予定通りに進捗させることには今後も大きな困難が予測される.
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年5月16日に予定されていた高齢者グループを対象とする講演は2021年2月25日に延期され,講演参加者を対象とする無記名のアンケート調査の実施も,2021年2月に実施の運びとなった.当該アンケート調査対象は首都圏の高齢者を対象としたが,今後は地方の農村や過疎地の高齢者に対象を広げて実施する予定で,調査に協力していただける高齢者グループを探しているが,COVOD-19の蔓延に伴う緊急事態宣言のため県境を越える移動が制限されているため,協力先の確保が困難である.がん患者会メンバーのグループインタビュー調査については,COVOD-19の収束を待って実施する計画である.COVOT-19の蔓延により,2020年11月に開催予定であったA-LIEP国際会議が中止されるなど,研究成果の発表機会も減少したため,研究成果発表に遅延が生じている.2021年5月に青山学院大学で開催予定の日本図書館情報学会春季研究集会にて,高齢者アンケート調査結果を「高齢者のICTスキルとヘルスリテラシー」という演題で,2021年7月に開催予定の第18回情報プロフェッショナル シンポジウムにて,医療関係者インタビュー調査結果を「⾼齢者のヘルスリテラシー向上のための教材開発に向けた医療者のインタビュー調査」という演題で発表する(受理済).また,COVOD-19の蔓延収束後には,領域の国際会議において研究成果を発表する計画である.COVOD-19の蔓延収束の時期によっては,当初の研究計画を少なくとも1年延長する。
|
Causes of Carryover |
2010年度に完了予定であった医療関係者のインタビュー調査が、COVOT-19の蔓延により2020年2月以降は医療機関へのアクセスが困難になったため、インタビュー方法を電話やWebに切り替えたものの、予定していた10名のインタビューを完了できたのは2020年7月となった。インタビューの書き起こしのため研究補助者の雇用を予定していたが、2020年2月以降出勤自粛により雇用できなかったため、業者に依頼して2021年度に実施した。。 COVOT-19の蔓延により、県域を越えた移動の自粛が求められた結果、2020年度に予定していた岐阜県のがん患者会メンバーのグループインタビュー調査の実施が不可能となったため、COVOD-19の蔓延収束を待って実施する計画である。そのため、研究費の執行も2022年度以降に繰り延べとした。 COVOD-19の蔓延が収束次第、当初の計画に沿って研究を進める予定である。そのため、研究機関を少なくとも1年間延長することが必要となる見通しである。
|