2020 Fiscal Year Research-status Report
一般情報教育におけるネットワーク・セキュリティ演習カリキュラムの開発と効果測定
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19K03015
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
鈴木 大助 北陸大学, 経済経営学部, 准教授 (30385538)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オンライン試験 / コンピュータベース試験 / 学習管理システム / PowerShell / Packet Tracer / Teams / CBT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は一般情報教育のネットワーク・セキュリティ分野について,能動的学習を促す効果的な演習カリキュラムを開発することである.研究代表者が専門情報教育のために開発している演習カリキュラムを基に,一般情報教育において効果的な実施が可能となるよう必要な改訂・修正を行いながら,開発・実践を進めている. 本年度は以下の成果を得た. 「オンラインCBT試験における不正行為防止策の検討と実践」について,インターネットと運用技術シンポジウムIOTS 2020(オンライン,2020年12月4日)で発表を行った. 2020年はコロナ禍に見舞われたが,コロナ禍下でも教育を継続するため,各大学はオンライン授業の方法について検討・実践を繰り返し,その授業方法に関する知見を数多く蓄積してきた.しかし,オンライン試験については,不正行為防止等の課題が今も残されている. 筆者はネットワークに関する専門教育科目をオンライン授業で実施した後,適切に教育効果を測定するためのオンラインCBT試験を考案・実践した.受講生自身のネットワーク環境についてコマンドを用いて調査報告する問題を含める,シミュレータを用いたネットワーク構築問題の条件を受講生毎に異なる実際のネットワーク環境をふまえたものものにする等の方法を取り入れることによって,なりすましや答案すり替えを防止し,受講生本人の問題解決力・実践力を測定することのできる試験を実現した. またオンライン授業として実施することになった一般情報教育科目においても,コマンドを利用したネットワーク経路調査演習を企画・実践し,教育効果の検討と,より効果的なカリキュラムとするための改善に取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はコロナ禍下におけるオンライン授業への対応に相当のエフォートを割かれたため,今年度に限っては本研究の進展は捗々しいものではない.しかし,昨年度はカリキュラム開発と実践準備がおおむね順調に進み,一部演習は計画より先行して実践に移行していた.このため,本研究開始から現在までの全体の進捗としては若干の遅れにとどまっている. 学生が密になるようなグループワークは避けるべきである現状を鑑み,本計画のうちロールプレイ演習は実施を取り止め,遠隔授業であっても能動的学習を促す効果的な演習カリキュラムの開発に移行している. パケットキャプチャ演習は,一般教育の一環として実践・効果測定を行った.現在のところ,高い教育効果を得るカリキュラムの完成には至っていない.パケットキャプチャを一般教育の演習として行うことは無理ではないものの,効果を得るには相当の学習時間の確保が必要であることが実践を通じて示唆された.現在は,その前段階であるコマンドを利用したネットワーク路調査演習を中心としたカリキュラムの実践と教育効果の測定に移行している. ケーススタディ演習は,進捗が遅れている.オンラインでのグループワークとして実施可能となるよう,早々にカリキュラム・教材を設計する. サイバー攻撃演習は,その前段階としてのクラウド環境におけるサーバ構築演習を既に実施しており,一般教育の一環として十分に実施可能,かつ,受講生の興味を喚起することが確認されている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属する学部では,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,また,社会のオンライン化に対応できるITスキル養成のため,情報系の一部科目について各種オンラインツールを活用した遠隔授業を実施している.本研究では,教室で行うロールプレイ演習については実施を取り止め,遠隔授業であっても能動的学習を促す効果的な演習カリキュラムの開発に移行している. サイバー攻撃演習については,今後,遠隔授業においてクラウド環境下で安全に実施できるよう,カリキュラム・教材を改訂・修正し,まずは専門教育の一環として2021年度後期に実施する予定である. ケーススタディ演習については,オンラインでのグループワークとして実施可能となるよう,カリキュラム・教材を設計し,2021年度中に実践する. パケットキャプチャ演習については,専門教育における実践を継続する.その実践を通じて,時間対効果の高いカリキュラムが一般教育でも実現可能か,引き続き検討する.一方で,一般教育においては当面,コマンドを利用したネットワーク経路調査演習を中心としたカリキュラムの実践と効果測定を実施する. これらの方策を通じて,遠隔授業であっても能動的学習を促す効果的な演習カリキュラムを具体化する.
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため,参加を予定していた学会・研究会は軒並みオンライン開催となった.このため,学会・研究会に参加・報告はしたものの,旅費は一切使用しなかった.また,研究代表者自身オンライン授業の対応に追われて,本研究に関する成果報告の機会が減少したことも一因である.2021年度は2020年度に実施できなかった分の報告・学会出張を実施する.次年度使用額はその参加費・旅費の一部に充てる.
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