2020 Fiscal Year Research-status Report
図的表現を用いた思考トレーニングによる空間的知能への影響およびその客観的評価
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19K03017
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
杉尾 武志 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (60335205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 健二 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (50586021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 図的表現 / 視覚属性 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフの視覚属性が読み取り方略の選択に与える影響について、前年度に取得したデータについて引き続き分析をおこない、日本心理学会第84回大会にてポスター発表をおこなった(オンライン開催)。棒グラフの読み取り課題において直接的には関連しない視覚属性が読み取りの際の方略に影響するのかについて検討をおこなった。棒などの視覚要素の角の丸さといった属性は、好ましさや情動に影響することが多くの実験から明らかにされている(たとえばBarとNeta, 2006)。課題に無関連な視覚属性に対して何らかの好ましさや情動に変化が生じることで、視覚的注意を向ける範囲に影響し、その結果トップダウン的な視覚認知に影響する可能性がある。実験データおよび社会統計データそれぞれ2種類に計4種類のデータについて、棒グラフの棒の横幅および輪郭(角が丸まっているかどうか)を操作し、読み取った内容を自由記述にて回答を求めた。自由記述の内容は記述がデータ以外の個所やデータの一部のみ言及しているか(局所的)、データ全体を統合した記述となっているか(大域的)によってコード化された。結果は対数線形モデルにより検討をおこない、データの種類、回答と横幅および輪郭のそれぞれの組み合わせについて2次の交互作用がみあれた。残差分析の結果、社会統計のデータについてのみ局所と大域の両方についての読み取りが増加することが明らかにされた。このことは、グラフにおける数値のどのような側面が課題遂行に必要であるかと関係している。さらに、「細くて角がある」場合と「太くて丸みがある」場合に局所と大域の両方についての読み取りが増加しており、このことは無関連な視覚属性であっても属性間の適合性が高いことで視覚処理の範囲が広がった可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の中、一定の期間参加を求めるような心理実験を実施できず、前年度までのデータ分析および視線計測を用いた課題の準備を中心として進めたため、進捗としてはやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度トレーニングを行わせる課題が実施できなかったが、こうした感覚間協応をふまえたデザインを検討する過程を通して、より大域的な視覚処理が促進されて視覚的推論課題につながるかどうかを、反応の速さや正確さだけでなく、視線計測と組み合わせて検討をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度において実験参加者を募集する形での実験が実施できなかったこと、および学会への旅費が発生しなかったことにより、次年度使用額が生じた。2021年度は、オンラインも含めたより多様な形での実験を実施することを中心に使用を予定している。
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Research Products
(6 results)