2023 Fiscal Year Research-status Report
天体総合観察システム‐IoT天文台構築による未来の教室における天体観察授業の展開
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19K03022
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高田 淑子 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70302255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 天文教育 / インターネット望遠鏡 / ICT教育 / VR教材 / 理科教育 / 天体観察 / 観察 / 全天カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学校現場で実施が困難である天文分野の観察を学校の授業中に実施できるように、学校現場で利用しやすい「天体総合観察システム」の構築を目的としている。天体画像等を自動で蓄積、映像化、DB化しホームページ上で公開することで、天体の日周運動等、長期間にわたり観察が必要な事象や、季節による変化等、観察データを基にした一元的な学習教材を開発する。ポストコロナの時代、学校現場のICT化が促進され、ICTを有効活用できる教材を提供する体制を整備する。 令和5年度は、新しくホームページを開設し、仙台市、タイ、石垣島の3地点に設置した全天ライブカメラの撮像映像の中で厳選した映像を抽出しホームページに掲載、緯度の違いや季節による太陽の日周運動の違いを理解する小・中学生対象の教材を製作し公開した。 また、YouTubeのライブ配信機能を活用した「金星のライブ配信」と「金星観察日記」による金星の満ち欠けの画像DBを構築したほか、これらを教材とした授業実践を中学校3年生の生徒に対し実施した。 さらに、仙台のみならず日本最南端の石垣島で全天の星空の日周運動を360°カメラで撮像し、天球上での星座の日周運動や、四季の太陽の日周運動の違いがわかるVR映像を制作、YouTubeで発信し、3次元的に時空を超えて観察できる映像教材を制作した。このVR映像教材をVRゴーグルやタブレット端末を用いて3次元的に観察することで、星や太陽の日周運動の授業実践も実施した。 地震被害を被り修理が完了しない中型天体望遠鏡にかわり、令和5年度には、小型望遠鏡を用いたインターネット望遠鏡を製作しトライアル運用を行い、初等教育では、小型望遠鏡による天体観察配信で十分教材として活用可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で出張ができない期間が長期にわたるため、関係性の再構築に時間がかる。また、2020年度に本研究のデータ蓄積・公開の中枢である本学の情報サーバーシステムにセキュリティインシデントが発生したため、旧ホームページ、旧システムがすべて失われた状況から、2023年度は新たなホームページ運用の見通しをたて、様々な教材の掲載ができるプラットホームを構築した。また、令和3年2月に発生した地震により、本学所有の天文台のドームと天文台内の望遠鏡に被害が発生し大規模修繕の予定が組まれたが、修繕前の令和4年3月に再度発生した震度6の地震の影響で望遠鏡本体にさらなる不具合が発生し、復旧が遅れ、令和5年度末に修繕が完了したところである。 この4年間は、度重なる地震被害とコロナ禍と大学情報システム障害という、研究環境の土台の崩壊に見舞われたため、遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
インターネット望遠鏡の礎である天文台が復旧したことから、天体ライブ配信のための機器整備、ならびに、インターネット望遠鏡のシステム方式を更新する。さらに、頓挫しているデータ集積・配信システム関連の整備を早急に行い、ホームページによる再公開に繋げる。また、全天カメラ設置拠点における修繕、並びに、設置予定拠点における全天カメラの設置を試みる。 継続して、児童生徒を対象とし、今まで開発している教材を用いた実践授業を行い、教材の評価を実施し、教材開発に反映させる。 以上により、地震被害、大学の情報システムセキュリティインシデント、並びに、コロナ禍の三重苦で遅延した本研究の推進を図る。
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Causes of Carryover |
2021年2月・2022年3月発生の震度6の地震の影響により、天文台や望遠鏡等、修繕の見通しが立たずに2023年度に持ち越され、2023年度末にようやく修理が完了し設備が整備された。そのため、2024年度にこれらを用いたインターネット天文台の開発に着手できる状況である。また、ポストコロナでようやく出張が可能となったため、今年度は出張機会を増やし、観察拠点の展開や、学会発表等の多研究者との交流が期待されるほか、修理後のインターネット望遠鏡の整備が期待できる。
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