2021 Fiscal Year Research-status Report
身体運動イメージに基づくアニメーション教育手法開発のための基礎的研究
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19K03024
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
布山 毅 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10336654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アニメーション教育 / 身体運動イメージ / 運動モルフォロギー / キネステーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はスポーツ科学における身体運動イメージのトレーニング方法をアニメーションの作画指導に応用した教育方法と指導支援ツールを開発することを目的とし、その基礎的研究に取り組むものである。スポーツ科学におけるメンタルイメージの指導方法を参考に、「学習者がアニメーションの動きを描く上でどのようなメンタルイメージを持つことが適切か」「適切なメンタルイメージを持たせるためにどのような指導方法が有効か」という問いに対し、①プロのアニメーターへのインタビューや作画時の内観報告の発話分析、②スポーツ科学の知見を参考にメンタルイメージ強化とそれに基づくアニメーション作画教育の方法の検討と実践、③アニメーションの動きの評価のための支援ツールの試作という3つのアプローチで取り組む。 2019年度と2020年度は、上記①として商業アニメ界において作画監督として活躍するプロのアニメーターへのヒアリングを行った他、②としてスポーツ科学の先行研究に関する文献調査を行った。また③として評価支援ツールの基盤となるアニメーション撮影ソフトウェアのβ版を開発した。 2021年度は、①としてプロのアニメーターに対するキネステーゼ(運動感覚)に関するヒアリングを行った他、③としてオープンソースのアニメーション制作ソフトウェアの開発者へのヒアリングを行った。また②として現象学的運動学の文献研究の成果を論文として発表した他、それら先行研究の知見に基づくアニメーション教育理論と教育の方法論を検討し、その応用的実践として『アニメーションブートキャンプ』というワークショッププログラムと連携し、ビデオ教材開発を試みた。更に、身体性に基づくアニメーション教育を、専門教育のみならず初等中等教育の図工・美術教育と接続する可能性についても検討し、美術教育系の学会等において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロのアニメーターへのインタビュー調査等は、研究2年目からのコロナ禍の影響により当初予定していた対面形式による実験が実施できず、オンライン形式のヒアリングを中心に行っているが、十分な量のデータを得ることがまだ出来ていない。 また文献調査を行い理論的考察を深めてゆく過程で、新たにスポーツ運動学における現象学的アプローチとアニメーション教育との接点が見出され、それに伴い研究手法の見直しが必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
プロのアニメーターへのヒアリングを継続すると共に、これまで蓄積されてきたデータに基づく理論的検討を行い、アニメーションの熟達者/指導者のメンタルイメージや運動感覚の特徴に関する知見を学会等で発表する。 またこれまでの分析対象は主に2Dアニメーターであったことから、補足的に3DCGやストップモーションのアニメーターに対するヒアリングを追加する。 更に、本研究の知見に基づく身体運動イメージに基づくアニメーション教育の方法論について、その理論的フレームワークを解説するテキストを作成する。
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Causes of Carryover |
理由:コロナ禍の影響による研究の遅れに伴い、期間延長することにした為。 使用計画:次年度の人件費・謝金等に宛てる。
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