2020 Fiscal Year Research-status Report
Society5.0指向英単語学習システムのための脳波による習熟度推定手法の開発
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19K03026
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
秋元 頼孝 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00555245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中平 勝子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (80339621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英単語 / 記憶 / 脳波 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
もともとの計画では、昨年度に確定した実験デザインで簡易脳波計による複数回の脳波実験を行い、英単語学習の際の脳波データの蓄積を予定していた。しかしながら、新型コロナウイルスの影響のため実験が実施できない状況が長期間続き、再開後も実験実施が大幅に制限されている状況である。そこで、機械学習の適用を前倒しで行ったが、データ量が不足しているためか、昨年度ランダムフォレストを用いて達成した判別精度(約70%)を大幅に向上させることはできなかった。 そこで、これまでに実施したデータから、最も対照的な学習成績を示した2名の被験者のデータを比較することとした。1名は、学習前の英語力(TOEICスコア)が極めて低かった被験者であり、もう1名は、学習前のTOEICスコアが比較的高く、英語での論文執筆の経験もある被験者である。難易度の高い(出現頻度が非常に低い)未知の英単語300語について、一日に1回、合計8回視覚的に提示した実験の結果、英語力の高い被験者は、約70%の英単語を新たに記憶することができた。一方、英語力の低い被験者は約6%の英単語しか新たに記憶できなかった。これらの被験者の脳波データを比較してみると、英語力が高く学習が進んだ被験者では刺激提示後500ms以降でシータパワーの増加を示したデータが、実験日の後半に多く見られるのに対し、英語力が低く学習が進まなかった被験者では刺激提示後500ms以降でのシータパワーの増加がほとんど見られなかった。これらの結果は、英語力の高い被験者は英単語に関する既有知識(接頭辞、語根、接尾辞に関する知識など)を無意識的に活用して英単語の記憶を行っていること、また英単語記憶の成立を簡易脳波計で測定することが可能であることを示唆するものであると解釈している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスのため、当該年度の大部分の期間は完全に脳波計測実験の実施を見合わせており、また、再開後も実験実施が大幅に制限されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスによる実験実施が難しい状況がいつ解消されるかが全く不透明であるため、当初計画していた英単語学習の際の脳波データの大量の蓄積を諦め、計画書では本研究課題の終了後の展開として記載していた英単語学習の聴覚提示によるケースを検討するように計画を変更することで、本研究課題を推進していく。
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Causes of Carryover |
成果発表が軒並みオンライン開催となったため、旅費を全く使用しなかったこと、実験実施が大幅に制限されたことにより次年度使用額が生じた。引き続き対面での学会開催(出張)が難しい状況が予想されるので、成果発表に必要な学会等の参加費として、翌年度分として請求した助成金と合わせて用いる。
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