2020 Fiscal Year Research-status Report
Science and Engineering Ethics as Design: Ethics Education with the Aid of Design Thinking Methodology
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19K03036
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
栃内 文彦 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (50387354)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 技術者倫理 / デザイン思考 / 行動設計としての倫理 / グローバル化 / 工学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会の科学技術化とグローバル化の急速な進展に呼応して科学技術倫理教育の重要性も増すばかりであることを踏まえ、学習者(学生)や教員の科学技術倫理への積極的・能動的姿勢の涵養を可能とする、デザイン思考(DT)の手法を用いた科学技術倫理教育プログラムの開発に向けた実証的研究を行うことである。 令和2年度は、勤務校(金沢工大:KIT)の学生が企画・運営をしたDTを用いたOnline Social Innovation Project(OSIP)に企画段階から補助者として参画し、OSIPに参加したKITおよび姉妹校(国際高専:ICT)の学生(企画・運営の3名を含む)を対象に、「倫理」と「デザイン(設計)」に対するイメージに関する質問票調査を実施した。回答したKIT、ICTは12名(有効回答数は11。調査対象人数は16名)で、有効回答の11名の内、KITの3年次必修科目「科学技術者倫理」未受講者は9名、受講者は2名だった。母集団、有効回答者数ともに少ないため定性的な評価に留まるが、「倫理」と比べて「デザイン」に対するイメージがより前向き(ポジティブ)であることが確認された。さらに、科学技術倫理は「(科学者・技術者としての)行動の設計」であることを明示的に示すことで、「倫理」に対するイメージが前向き(ポジティブ)に変化しすることも確認された。これらのことから、科学技術倫理教育では「行動の設計」の側面を強調することが有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響により、昨年度末以降、予定していた諸活動の中止を余儀なくされた。しかし、その一方で、「研究実績の概要」で述べたような代替の活動が行われることとなり、規模は大幅に縮小されたものの、DT手法を用いた教育プログラムに参加して科学技術倫理教育の観点から有効性を検証することはできた。 以上のことから、進捗状況は当初予定よりもやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染拡大の影響により、国内外で実施される教育活動への参画がほとんど不可能となっており、研究予定の大幅な変更を余儀なくされている。しかし、研究期間の延長も視野に入れつつ、可能な限り当初計画に沿って以下のように研究を推進する予定である: 1)[2021-22年度]国内外のEAC型科学技術倫理教育プログラムの調査、学生・教員の積極的姿勢涵養を妨げる要因の明確化およびデザイン思考(DT)と科学技術倫理教育の内容との整合性の確認:今年度末に実施した質問票調査の結果を踏まえて、担当科目「科学技術者倫理」において、受講学生を対象とした科学技術倫理教育プログラムへの参加姿勢の積極性に関する質問票調査を実施し、科学技術倫理に対する積極的姿勢の涵養を促進するために必要な要件を明確化する。また、状況が許せば、DT手法を用いた教育プログラムに参加して、DT手法を用いた教育プログラムの科学技術倫理教育の観点からの有効性の検証も行う。 2)[2022年度(研究期間の延長もあり得る)]DT手法を用いた科学技術倫理教材の作成、試用、教材としての有意性の検証:それまでに得られた知見を踏まえて、DT手法を導入した科学技術倫理教材を作成する。教材は「科学技術者倫理」などで試用して、その有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
(理由) 前年度未使用額を含めた今年度使用予定額約115.7万円に対し、使用額は約71万円となった(直接経費)。使用額の大半は研究の進捗状況を考慮して購入を今年度に見送った研究代表者の研究用ノートPCとその周辺機器類、および、教材開発などの目的で購入したデジタルカメラとその周辺器材類の導入費用である。国内外の出張を複数回計画していたが、COVID-19感染拡大が続いたことから全ての出張を取りやめざるを得なくなった。以上の結果、次年度使用額が約44.7万円となった。 (計画) 次年度使用額は、今年度未使用額を含めて約148.7万円(直接経費)である。調査・打合せのための出張旅費が大半を占めるが、引き続き出張を抑制せざるを得ない状況が続いているため、実使用額はそうとう少なくなることが予想される。
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