2020 Fiscal Year Research-status Report
ナッジを用いた健康促進システムの開発と学習効果の検証
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19K03039
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 裕美子 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (40288767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安留 誠吾 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (50252721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラーニングアナリシス / ナッジ / 健康増進 / 学習効果 / 歩きたくなる大学づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:本研究では,(1)学生の健康促進を目指した生活習慣の改善や運動促進が,出席率や学業成績,留年/退学率とどのように関連するか統計的に分析すること,また,学業成績の向上に関わる因子を解明することを目指している.それに伴い(2)「思わず歩きたくなる大学づくり」のシステム開発を行うことも目的としている. 実績内容:(1)2020年度は,2019年度に取得した600名の体力測定項目と学業成績の関連性を検討と効率的な学習方法や運動促進ナッジの提案,(2)学習者の日常生活をどのようにモニタリングするかを検討することを目的としていた. (1)600名分の体力データと生活習慣について,学業成績(GPAや単位取得数)との相関を算出した.GPAや単位取得数等には体力データとの主だった関連が得られなかったため,もう少し詳細な個別の科目や苦手とする科目等との関連などについて,検討する必要があることが示唆された.歩くことと学習効果の両方を促すためにサイネージの設置を検討した.サイネージに提示用の学習支援システムを開発した.運動促進ナッジについても,検討を始めた. (2)学習者の日常生活のモニタリング方法の検討としては,エレベータの乗降か,階段の登り降りかを判別するアルゴリズムを開発し,Android端末に実装し数名による評価を行った.気圧センサーと加速度センサーを用いて判別を行ったが,気圧センサーを搭載していない端末での精度向上が課題である.また,大学内での行動であることを判別するために,GPSを利用したが,極力個人情報を取得しない手法の検討が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)体力データと学業成績の関連の検討と効率的な学習方法の提案(2)大学内における日常生活のモニタリング方法の検討を目的としていた. (1)については,体力データと学業成績との相関分析を行なった.また,サイネージ提示用の学習支援システムの開発を行なった.運動促進ナッジの提案については,もう少し検討する余地が残っていることと,学業成績と関連する体力データや生活習慣については,詳細な学業成績を検討する必要性があるため,今後は,この2点について明らかにしたい.計画では,ウエアラブルデバイスで心拍数等と行動を計測し,成績との関連を明らかにする予定であったが,感染予防対策で,オンライン授業であったため,実験参加者を募集できなかった. (2)については,大学内での移動手段(階段、エレベータ)を判別,大学内であることを判別するアプリを実装し,数名による評価を行なった.判別精度に問題があるため,アルゴリズムを改善し,アプリを改良する必要がある.大規模なデータ収集への準備としてGoogle fitなど既存システムの使用を検討する予定であったが,十分な検討が行えていない.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,(1)コロナ感染防止のためオンライン授業で行えていないウエアラブルデバイスを用いた30人程度の行動と心拍数の連動データの取得と成績と行動&心拍数との関連を検討することに加えて,デジタルサイネージのコンテンツ内容を検討する. (2)移動手段などの判別精度を向上させ,Google fitなどの既存システムとの連携を検討する.また,デジタルサイネージの前に立った利用者を特定する手法を検討し,利用者に合った表示が可能なデジタルサイネージによるフィードバックシステムを検討する. オンライン授業が続き,実験参加者を募集できない場合は,デジタルサイネージに表示するコンテンツ開発から行い研究計画に遅延がでないようにする.デジタルサイネージのコンテンツには,運動促進のコンテンツと合わせて学習促進のコンテンツの両方を検討し,どのように提示したら,効果が上がるかを試作したシステムを用い,数名による評価実験を行う予定である.
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Causes of Carryover |
オンライン授業等で実験参加者を募れなかったため,30人の実験参加者に対する謝金や学会での調査費等が未使用額となった.未使用分は,「思わず歩きたくなる大学づくり」に必要なサイネージの検討のための費用とするほか,自動で計測できる参加者の行動モニタリングのシステム開発のための費用として使用する.
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