2022 Fiscal Year Annual Research Report
地理的素材・手法を取り入れた総合的防災・減災教育プログラム開発
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19K03058
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹内 裕希子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (40447941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣内 大助 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (50424916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 防災教育 / 地域情報 / 平成28年熊本地震 / 令和2年7月豪雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は防災・減災教育プログラムに地理的素材・手法を取りいれる方策について検討することを目的としており,今年度はデジタルアーカイブの構築とその利活用と効果について検討した。 熊本大学デジタルアーカイブ室のデータを用いたアーカイブ展を熊本県と協働して実施した。会場は平成28年熊本地震で大きな被害を受けた上益城郡益城町,熊本市南区,上益城郡御船町の3市町で通算120日間にわたり開催した。開催期間中,市町村行政担当者や新聞記者,消防団団員を招き計7回の「私と記憶の継承」と題したトークイベントを開催した。 トークイベントの語り手全11名に対してアンケート調査を行い8名から回答を得た。回答者のうち6名が「災害アーカイブ展は期待通りだった」と回答した。2名は「わからない」と回答した。「期待通りだった」と回答した背景には,「自分が体験したこと以外の熊本地震のことを知ることができた」「断片的に記憶として残っていたものを全体的なイメージとして再構築できた」とする, 熊本地震全体像と復旧・復興の過程の把握, 自己の振り返りができたことについての言及がみられた。このことから,災害アーカイブ展が記憶の風化や語る機会が減少傾向にある熊本地方の住民に対して災害経験について振り返り語る機会を提供していることが明らかになった。 また,「当時の状況を冷静に振り返ることができた」「6年の時間が経ち立場も変わったことから当時のことを思い切って話そうと思ったし伝えるべきだと思った」「6年が経過したから話題にできた」という回答もあり,時間の経過とともに語ることが可能になる話題が存在していることが明らかになった。このことから大学が所有する災害に関する資料や研究成果を発災から一定の時間が経過したのちに地域社会へ持ち出し,災害アーカイブ展を開催することは記憶の継承と振り返りの機会を提供していることが認められた
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Research Products
(3 results)