2019 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の労働生産性向上に向けた「気づき」能力育成法の研究
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19K03062
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 潤 中央大学, 国際経営学部, 教授 (80532994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永吉 実武 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80620616)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視線計測 / 気づき / シナリオ創出 |
Outline of Annual Research Achievements |
中小企業のターゲットとして、鳥取県・倉吉市の上神焼き(かずわやき)の中森伯雅氏に協力をいただくこととなった。上神焼きの窯元の仕事は、中小企業というより地方にある零細企業に近い状況ではある。しかしながら、陶芸の動的な作業における「気づき」を視線計測で研究することにより、「気づき」能力育成法についての調査・研究ができると判断した。また、「気づき」を促す手段として、自らの精進も必要ではある一方で、外部からのヒントの効果についての研究にも取り組んだ。 陶芸に関しては、轆轤(ろくろ)を回転させながら、土の塊の成形プロセスの可視化を試み、プロの視線から抽出するなんらかのヒントが得られるかに取り組んだ。その結果、中心から左側に両手の指さきが集中し、サッカードラインの現象をとらえることができた(ハンガリーでの国際学会(KES2019)にて発表)。 また、外部からのヒントの効果に関しては、シナリオ創出というテーマに対して一定の効果を見出すことができた(マカオでの国際学会(IJCAI2019)にて発表)。 労働生産性に関しては、作業の効率化に先立って、まずは需要があることが前提である。そこで外部からのニュースやイメージに大きく左右されると思われるIRに関してのアンケート調査を行う段取りをした。IRの一つのシナリオ・ストーリーに気づくためのヒントの効果(例えば外部からのニュースなどのメディア)とどのように認識が一致あるいはギャップがあるのかについても探求する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視線計測のソフトは、実験に対応可能なように既存のものを少しの改良で済んだこと。 研究協力を得られて実際に実験に取組むことができたこと。 Preliminearyではあるが、データ分析をすることによって、生産活動のプロセスの可視化における幾つかの特徴を捉えることができたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
「気づき」の対象は素人であるべきとの理解でおり、現在は匠の熟練者にのみ対応したデータの分析にとどまっている。若手や未熟練者と、熟練者との差異分析をすることで、なんからの生産性もしくは熟度の向上の余地があることに気づいてもらうような取組が残っている。さらには教科書通りではなく、より創意工夫が凝らされるかどうか、については、ベンチマークがないことと同意であり、生産行為はある意味ルーチン化に陥りがちである。ここにそうではない、どのような創意工夫の余地が残され、あるいはそれに気づくのか、が本質的な課題であり、今後の研究の軸となる。
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Causes of Carryover |
次年度繰越の理由は、視線計測のソフトのバージョンアップによる既存プログラムの修正に手間取ったことと、このために初期実験を行うことで精いっぱいな状況になったため。 使用計画としては、国際学会発表:欧州(KES2020)約30万円、国内学会発表:熊本(JSAI)約5万円、ツール開発費:約135万円、その他360度カメラなどを想定している。
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