2020 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の労働生産性向上に向けた「気づき」能力育成法の研究
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19K03062
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 潤 中央大学, 国際経営学部, 教授 (80532994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永吉 実武 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80620616)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経験と反省 / 可視化 / 未来への継承 / 開発と探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)中小企業の対象として(株)三技協とともに研究を進めた:同社での経営者の交代がなされ、創業者から三代目の方が就任した。そこでこれまでの従業員の「失敗からの学び」(反映塾)に関する従業員等への意識調査の定点観測の分析報告(直近では2020年1月末に実施)と、今後の組織能力開発に向けた取り組みの方向性について討議をした。総合的に勘案すれば、「経験」「反省」という過去からの学びよりも、「チャレンジ」といった未来を見据えた学び・ノウハウ蓄積に変わりつつあることが判明した(2020年5月)。これまで活動を会長・社長と中心に行ってきたが、経営幹部とも意見交換を行った(2020年6月)。その結果、下記の国際学会で発表を行った。 SSEB:2020年8月、KES:2020年9月、IEEM:2020年12月 2)中小企業の対象として、陶芸家の中森伯雅師匠とともに研究を進めた:陶芸、特に技能が問われる轆轤を用いたお皿・お椀・壺などの成形プロセスに照準をあて、視線計測装置を用いて分析し、生産性向上に向けて匠の技の可視化に務めた。育成法については、ありがちなハンドブックでは対象物に接近した写真の掲載が多くみられるが、実際の作業では顔と一定の距離が維持されるため、そのうえでの「気づき」を明らかにした。また、皿、壺、花瓶といった形が異なる成形作業では、形の複雑度に応じて視線も細やかに変化することを示し、一方で、粘土の体積が同じであれば、作業所要時間はほぼ変わらないことも判明し、形状が複雑になればなるほど技能伝承には難易度が一層増すことが判明した。その結果、次のの学会で発表を行った:人工知能学会全国大会:2020年6月、STEAM:2020年9月、KES:2020年9月。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三技協においては、新経営体制のもとでの研究連携がやや維持しにくくなってきた感はあるが(理由:反省塾が一定の効果と浸透が進み、あえて注目すべき経営課題とならなくなってきている印象があるだけでなく、現社長の父親の時代の産物に対しての、息子のやや抵抗感を抱くいわゆる中小企業特有の体制もある)、定点観測に足る一定のデータ量が蓄積され、解析を進めることができた。その結果、サイバーマニュアルのような情報共有の効果は、意識調査からは有意にあると考えられる。また、開拓(Exploitation)と探索(Eploration)の両利きの概念的研究モデルを提唱するに至った。 このような流れを受けて、かかる製造業ではなくソフトウエア産業における中小企業の在り方に研究にも着手し、主にグーグルのビジネスモデルを参考に、オープンソースの活用の在り方の是非を考察し、論文発表に至った。 以上の産業版中小企業に加え、芸術版中小企業として、陶芸の、特に人に大きく依存するプロセスとして轆轤の成形作業に着目し、育成方法の検討につなげるべく実験を繰り返した。その結果、成形対象の形状の大きさが難易度に影響を与えていることを視線計測の側面で可視化することによって、明示することができた。と同時に、粘土の体積と所要時間との相関を判明し、この点については陶芸の師匠も気づかなかった点であり、育成のポイントとしては大きな発見である。また、新人とベテランの視線差異も可視化することができ、データ解析を進めている段階に至った。 総じて、中小企業の労働生産性の課題と対策は徐々にはみえはじめてきた状況である。
育成法に関しては、さまざまな発見があったものの、その整理に向けて体系化はこれからである。
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Strategy for Future Research Activity |
視線計測は芸術系中小企業にとどまっているため、産業系中小企業における実験を進めて、成果内容を充実させていきたい。また、経営や作業レベルの課題を特性し、データの蓄積と解析は一定程度進んだものの、育成方法の整理と体形化は今後の課題である。
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Causes of Carryover |
主な使用計画としては、Tobii Pro Laboのアナライザーが必要で、プレゼンターは購入しましたので、アナライザーにアップグレードして、データ解析を行う予定です(50~60万円)。また、視線による分析に加えて簡易的な音声解析のソフトを開発する方向です(10万円)。このほか、残額で学会参加費・書籍・消耗品費を予定しています。
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Research Products
(10 results)
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[Book] Bridging the Gap Between AI, Cognitive Science, and Narratology with Narrative Generation2020
Author(s)
T. Ogata, and .J. Ono 編集:A.Kanai, S. Schiffer, K. Seino, S. Ishizaki, H. Fukushima, N. Harada, T. Ogata, J. Ono, A. Abe, Y. Tanida, J. Nakamura, A. Hirotaakashi
Total Pages
409
Publisher
IGI Global
ISBN
9781799848646