2019 Fiscal Year Research-status Report
ICTによりアクティブラーニング型授業の支援も可能なパワエレ学習支援システム
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19K03075
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
上町 俊幸 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50280334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
與那嶺 尚弘 沖縄工業高等専門学校, 情報通信システム工学科, 教授 (00259805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / eラーニング / in situ実験 / チョッパ回路 / 直流電動機 / 直流発電機 / 遠隔操作実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アクティブラーニング(以下,AL)やeラーニング,in situ実験(座学の中での検証実験)などの様々な教育手法を用いながら,パワーエレクトロニクス(以下,パワエレ)や電気機器の技術分野について,実感を伴いながら学習できる教育教材を開発する。また,学生の学習ログを教員にフィードバックし,授業内容や教材の改善に対して支援ができる学習支援システムの開発を目指す。今年度は,パワエレのin situ実験に使用するミニ実験装置と,電気機器のin situ実験のための遠隔操作型実験装置の開発,および,パワエレ,電気機器のeラーニング教材の開発を行った。 パワエレのミニ実験装置は,スイッチ,インダクタンス,ダイオードなどの回路素子の組み合わせを変更し,様々なチョッパ回路の実験ができるものである。工具を用いることなく手軽に回路の変更ができるため,in situ実験に適した実験教材である。電気機器の遠隔操作型実験装置は,教室からICT技術を用いた遠隔操作により実験室にある電動機や発電機の実験を行い,電動機,発電機の特性を教室で観測するものである。この装置により,大重量の機器を教室に持ち運ぶことなくin situ実験の実施が可能となり,実際の動作を観察しながら学習できるようになる。2019年度は,直流電動機と直流発電機の実験について,実験室側で動作させる実験装置を開発した。 eラーニング教材は,実験やシミュレーションだけでは補うことができない,パワエレや電気機器の理論を自学自習できるようにするためのものである。開発した教材は,グラフィカルな理論解説スライドと,簡単な理解度確認テストである。これまでに開発した理論解説スライドは,学生が自分のペースで読み進めるものであったが,音声の解説を加えることで,スライドに文章で表示できなかった,より詳細な解説を加えることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発する学習支援システムは,①in-situ実験教材,②AL型授業支援システム,③eラーニング教材の3つで構成され,2019年度は研究実施計画に従い,①in situ実験の教材開発および③eラーニング教材の開発に取り組んだ。 ①について,パワエレのin situ実験教材として,机上で工具を使わず回路を構成することができるミニ実験装置を製作し,実験によりその動作を確認した。また,電気機器の遠隔操作型in situ実験教材として,2019年度は計画通り直流電動機と直流発電機の実験装置の開発に取り組んだ。ホストマイコンから制御用マイコンに指令を送り,その指令に従って電動機や発電機の電圧,電流を制御する実験室側のシステムを構築し,実験によりその動作を確認した。しかし,教室のタブレットPCからホストマイコンに指令を送る部分については,タブレットPCを選定したのみで,構築できなかったため,やや遅れていると判断した。 ③のパワエレおよび電気機器のeラーニング教材については,これまでの学生が読み進めるタイプの解説スライドに加え,音声による解説を追加したスライドを作成した。これにより,スライドに文字で表示しきれなかった細かい説明も加えることができるようになった。また,Web上で理解度の確認ができるよう,小テストも一部開発した。マイコンのeラーニング教材は,対象とするマイコンの選定が遅れたこともあり,演習問題の開発には至らなかったため,やや遅れていると判断した。 ②のAL型授業教材については,演習問題の整備を行ったものの,タブレットPCの選定が進んでおらず,タブレットPCでの表示には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①in-situ実験教材については,2019年度にパワエレのin situ実験教材であるミニ実験装置の製作が終わっているため,2020年度はこれを使用したin situ実験を開発し,テキスト等の作成をする。また,実際にin situ実験を体験してもらい,アンケート調査を実施する。 電気機器の遠隔操作型in situ実験教材については,2020年度にタブレットPCからホストマイコンへ指令を送る部分を開発し,その開発が終わりしだい,2019年度に開発した実験室側のシステムと組み合わせ,動作の確認を行う。また,動作確認が終わったあとは,2020年度から2021年度にかけて,誘導電動機の実験装置の開発に取り組む。 ②AL型授業支援システムについては,2020年度にタブレットPCを含めた学習環境を選定し,AL教材としての演習問題をタブレットPCで取り組めるようにする。また,この演習問題を学習ログの取得が可能な形に整備し,2021年度には学習ログを取得するシステムを開発する。 ③のパワエレおよび電気機器のeラーニング教材については,2020年度は引き続き,音声による解説を追加したスライドの開発を進める。また,理解度確認テストの開発も進める。2020年度に,ひと通りの解説スライドと理解度確認テストの開発を終えたあと,2021年度にこれらを実際に使用してもらい,その学習効果等について調査を行う。また,2021年度は,マイコンのeラーニング教材を活用した実習課題の開発も行う。
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Causes of Carryover |
遠隔操作型実験装置として,2019年度は直流電動機の装置を製作し,2020年度は誘導電動機の装置を製作する。誘導電動機はトルク特性が複雑であるため,その特性を観測するためにはトルク検出器が必要と考えた。しかし,トルク検出器は高額であるため,2020年度の物品費を圧迫しないよう,2019年度の物品費の一部を,2020年度のトルク検出器の購入に充てたいと考え,次年度使用額が生じた。 また,成果発表や情報収集のため,年度末に国内の学会への参加を申し込んでいたが,新型コロナウイルスの影響により学会が中止となり,旅費を使用する機会がなかったため,次年度使用額が生じた。 2020年度は,高額なトルク検出器を含め,実験装置の構成部品で物品費を使用する。また,アクティブラーニング用のタブレットPCを選定し,学習環境として使用する物品を購入する。 旅費は,研究分担者との打ち合わせ,および成果発表のための学会参加に使用する。
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