2020 Fiscal Year Research-status Report
空中操作が可能な完全無装着型MRの開発とグループ実験教育支援システムへの応用
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19K03079
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
竹村 淳 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20297617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育支援システム / バーチャルリアリティ / 実験教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
理工学分野の教育においては,「ものづくり」を含む実験教育が重要であり,利用者の様々な環境に対応させるために仮想現実(virtual reality; VR)を用いた実験教育が有用と考えられている。しかし,現行のVRは,個々の利用者が身体にデバイスを装着するため,作業の妨げとなり,また複数の利用者による共同作業ができないなどの問題があり,理工系分野における高度な実験教育に用いることが困難である。本研究は,身体に装着するデバイスを必要しないVR, さらに拡張現実(augmented reality; AR),及びこれらを複合させた完全無装着型の複合現実(mixed reality; MR)の技術を開発し,実験教育支援システムに応用することを目的とする。 この技術を効率よく構築するために,これまでの研究では,次の(1)及び(2) に関する開発研究を行った:(1) 裸眼立体ディスプレイによる立体映像と超音波を用いた触覚提示を組み合わせることによる完全無装着型のMRシステムの構築, (2) MR空間内で立体映像を操作する手の動きに対する立体画像認識の応用。 以上の研究により構築した新しいMR技術によって,現行の教育システムでは不可能である,MR空間で作製した物(電子回路やロボット)の動作(例:設計どおり動くか)を学ぶことが可能となり,高い教育効果が得られる実験教育システムの実現が期待できる。さらに,上記の研究で構築した“空中操作が可能なMRシステム”を実験教育に応用することを目的としたソフトウェア面の開発,及び教育支援システムとしての有用性を評価する研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究で構築した“空中操作が可能なMRシステム”を実験教育に応用することを目的として,主にソフトウェアの開発と教育支援システムとしての有用性の評価に関する研究を行っている。具体的には,次の(1)及び(2)を可能にするための開発研究と評価実験を行った:(1) ものづくりの体験ができるMR教育支援システムの実現,(2) MR空間で実際のものづくりや実験作業と同等の体験を可能にする。 さらに,汎用のシミュレータ等の教育ソフトウェアと連携することにより,ものづくりによる製作物(回路やロボットなど)がどのように動作するかを学ぶことを可能にしている。これらの研究により,構築した完全無装着型のMRシステムにおいて,「ものづくり」学習と製作物の動作の観察や計測を同時に学ぶことが可能となり,実験教育支援システムとしての有用性を確認することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究では,新しい完全無装着のMRシステムを開発し,理工系の実験教育システムへの応用を試みた。今後の研究では,このMRを用いた実験教育システムを発展させて,個人の学習のみを対象とするのでなく,遠隔地のメンバーを含むグループによる共同作業を伴う技術開発向けの高度な実験教育に利用することを可能にする。理工学系の実験教育では不可欠であるグループ内の議論や共同作業を伴う実験の支援を可能にするために,これまでに構築したシステムに対して,複数の人物の手の動きや視線を解析する機能を追加するためのソフトウェア開発の研究を行う。 以上の研究によって,空中に表示される立体映像に対して,実験における作業(物に触れ,組立や分解などの操作を行うこと) と同等の体験を得ることが可能な完全無装着型のMR技術が構築され,グループ学習を必要とする専門性の高い「ものづくり」実験教育に対応させることが可能な実用性の高い教育支援システムを実現することが期待できる。
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Causes of Carryover |
学会がオンラインで開催されたことにより旅費が減少したため,次年度使用額が生じた。次年度使用額は,今後の成果発表(論文,国際学会) が当初の計画より増える見込みであるため,そのための校閲及び掲載料の一部として使用する。
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