2019 Fiscal Year Research-status Report
遊休資源を利用して高スケーラビリティを実現するe-Learningシステム
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19K03081
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
川村 尚生 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (10263485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 健一 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30399670)
菅原 一孔 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (90149948)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | e-Learning / 分散システム / 遊休資源 / ストレージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大別して3つの課題を持つ。今年度はそのうち2つの課題について研究を行った。 【コンピュータがe-Learningシステムに動的に参加・離脱する手法の開発】事務用PCなど、他の業務に使われているコンピュータの未使用ストレージを遊休資源として利用するために、システムに動的に参加・離脱する手法を開発した。特に問題となるのは離脱で、専用サーバについては、コンテンツを他のサーバに移動させる等、必要な手順を踏んだ上で離脱させることができるが、遊休PCについては、たとえばノートPCのパネルを閉じてスリープさせる等、システムから見れば必要な手順を踏まない不正離脱が一般的に行われると考えなければならない。この場合、消失したコンテンツの回復および遊休PCの状態整合性が問題となる。コンテンツの回復については、すべてのコンテンツに一定数の複製を持たせ、遊休PCの不正離脱により複製数減少を検出した場合に、残された複製から複製数を増やす手法を開発した。遊休PCがスリープからレジュームしたとき、自分自身は離脱したとは思っていない一方で、システム側は離脱と判断していることが状態の不整合であるが、このような場合に遊休PCが自身の離脱を検出できる仕組みを開発した。 【コンテンツを分散管理する手法の開発】同じ動画を多数の視聴者が再生する場合の応答性能を上げるためにはシステム上にコンテンツの複製を持ち、ユーザがアクセスする先を分散させる必要がある。また、複製は上記で述べた消失を防ぐためにも必要である。したがって、常にすべてのコンテンツの複製をn個用意することとする。nを大きくするとストレージの利用効率が低下するが、動画の同時視聴数が増えた場合等は一時的に多数の複製があったほうがよい。そこで、消失した場合にn個まで回復すべき通常の「強い複製」に加えて、消失した場合に回復しなくてもよい「弱い複製」を導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では研究期間の4年間を半分ずつにわけ、前半2年間では研究室レベルでの比較的小さい実験環境においてシステムを開発し、実験を実施することを目指している。開発するシステムの実現には大きく3つの課題があるが、このうち、コンピュータがe-Learningシステムに動的に参加・離脱する手法の開発、コンテンツを分散管理する手法については、基礎的な開発は達成できた。来年度、もう少し規模を大きくした環境で実験して改良する余地はあるが、概ね目標としていたレベルはクリアしている。残る3つ目の課題である、コンテンツのセキュリティを確保する手法の開発は文献調査の段階だが、残りの期間において十分に研究できるものと考えられる。 以上を総合的に判断して、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では研究期間の4年間を半分ずつにわけ、前半2年間では研究室レベルでの比較的小さい実験環境においてシステムを開発および実験を行い、後半2年間では、研究者の所属する学科が有する設備等を利用し、より実環境に近い規模において開発および実験を行うこととしている。この予定にしたがって研究を進めてゆく。また、コンテンツのセキュリティを確保する手法の開発も並行して研究する。 来年度は、実験環境にPC、スマートフォン、タブレットを追加し、規模を拡大した環境での開発・実験を展開する。
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Causes of Carryover |
3月に研究成果を発表することが決定していた国際会議の開催地であるアメリカ合衆国への出張が、COVID-19のために不可能になったため。翌年度以降の旅費として使用するか、状況によっては物品費に算入する。
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