2020 Fiscal Year Research-status Report
クラウドを活用してピアレビュー分析にまで学生が関わるプロセスを取り入れた協働学修
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19K03089
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
二瓶 裕之 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (70433422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クラウド / ピアレビュー / 協働学修 / ルーブリック / 課題解決 / オンライン / グループワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、ピアレビューの確実性の検証に向けて、コロナ感染対策を踏まえたうえで、協働学修に「ピアレビューの分析にまで学生が関わるプロセス」を導入する授業を設計し、授業実践を図った。 本研究は協働学修形式による授業実践を基本としている。そのため、2020年度は、コロナ感染対策を踏まえたうえで、協働学修(グループワーク)を実施する仕組みをつくることから始めた。その下地となったのが、本研究2019年度の成果の1つである「オンラインアプリケーションを活用したクラウド空間内でのグループワークの実践と検証」である。 まずは、この実績を踏まえ、大学全体としてオンライン授業を実施できるように、ライブ配信授業ポータルサイトを開発した。これにより、学生は、デジタル化した時間割からオンライン授業を受信できるなど、今までの大学生活と同じような仕組みや手順で遠隔授業を受講できるようにした(雑誌論文3,学会発表1)。また、オンラインの共有ドキュメントを使ったグループワークの仕組みを作り、その手法や成果も報告した(学会発表2)。 次に、複数の授業科目を連携しながら、協働学修に「ピアレビューの分析にまで学生が関わるプロセス」を導入した。連携をした授業科目は、薬学部1年生の必須科目である「文章指導」、「情報科学」、「早期体験学習」である。「文章指導」では、レポートの評価方法を学ぶ観点から、ルーブリック評価表を作成するなどの演習などを行って、ピアレビューに必要な知識の修得を図った(雑誌論文1)。「情報科学」では、ピアレビューの実施とレビュー結果の分析に加え、数理・データサイエンス教育を通してデータ分析力の醸成を図った(雑誌論文2)。最後に、「早期体験学習」では、医療施設に関するワークショップについての発表会をオンラインで実施し、その中で、学生どうしのピアレビューと教員評価の両方を実施した(雑誌論文4)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業科目連携により分析を伴うピアレビューも実施するなど、研究は順調に進んでいる。ピアレビューの実施回数は1年に8回程度となり、初年次情報リテラシー系2科目で連携して実施したり、情報リテラシー系以外の基礎系科目である「文章指導」や医療系科目である「早期体験学習」とも連携して実施したりなど、当初計画に沿った進捗となっている。 また、クラウド技術を応用した協働学修の環境構築も計画通りに進んでいる。特に、2019年度に実践したクラウド空間の中でのグループワークの取り組みは、2020年度にはコロナ感染対策の観点からも進展を見せ、大学全体としてのオンライン授業の実施へとつながった。私立大学情報教育協会における各種講演会でも、全国へ向けてオンライン授業のノウハウを発信するに至った。 さらに、ピアレビューの分析に問われるデータ分析力の醸成の観点から、数理・データサイエンス・AI教育を医療系大学で実施することもできた。この観点から、AIを活用した教育実践も進めることができた。この結果、「早期体験学習」でピアレビューを実施するためのオンライン発表会システムも開発したが、ここでは、座長をAIが担い、機械学習の範囲ではあるが、AI座長が発表要旨を学習して、同一セッション内の発表をクラスタリングしたり、参加者の要望に沿っておすすめのスライドなどを紹介したりした。現在は、AIスピーカーも整備して、数理・データサイエンス・AI教育によるデータ分析力の醸成も進めている。 本研究の過程で取り組んだオンライン授業実践と数理・データサイエンス・AI教育に関しては、大学全体の取り組みとして広げることができ、それをDX推進計画として策定できた。さらに、本学DX推進計画は文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の取組①として採択されるなど、この点では、計画以上の進展もあったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2021年度には、当初計画に沿って、学生によるピアレビューの確実性を明らかにする。具体的には、「ピアレビューの分析にまで学生が関わるプロセス」を取り入れることにより、学生どうしのピアレビューと教員評価との差や相関について検証する。また、検証の結果に基づいて「ピアレビューの分析にまで学生が関わるプロセス」を取り入れた授業科目のシラバスを確定し、本学ホームページを通して広く公開する。また、教育工学に関わる学術会議で報告して、様々な意見を聞きながら、学生によるピアレビューの確実性を多角的に検証する. さらに、ピアレビューの分析に問われるデータ分析力の醸成の観点から、本学DX推進計画に沿って、数理・データサイエンス・AI教育に関する取り組みも続ける。具体的には、情報リテラシー系の授業科目を組み合わせることで、リテラシーレベルの数理・データサイエンス・AI教育を全学的に実践する。 また、DX推進計画では、本学ホームページにDX推進計画の専用サイトを構築して、本学のDX推進教育の手法を公開することとしている。加えて、今までに開発してきた教育支援システムのうち、オープンソース化が可能なモジュールについても公開して、全国の教育機関で活用できるようにすることとなっている。 そこで、本研究の中で開発してきた各種のシステムについても、オープンソース化が可能なモジュールをDX推進計画の専用サイトに公開して、本研究の成果を全国へ普及することを図る。なお、オープンソース化にあたり、今までは、主にwindows環境でのシステム開発と検証を行っていたが、2021年度はMacintosh環境でのシステム開発と検証ができるようにして、より多くの教育機関で利用できるようにする。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ感染対策の観点から、出張を控える結果となった。そのため、当初計画していた出張旅費を使用することがなかった。また、2020年度の前半は、コロナ感染対策から遠隔授業を大学全体として実施できる仕組み作りを行っていた。これらのことから、次年度使用額が生じた。 2021年度は、本研究の中で開発してきた各種のシステムについても、オープンソース化が可能なモジュールをDX推進計画の専用サイトに公開して、本研究の成果を全国へ普及することを計画している。ここで、オープンソース化にあたり、今まで構築していたWindows環境に加えてMacintosh環境でのシステム開発ができるような機材調達を行う予定である。
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Remarks |
本学ではDX推進計画を策定して「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」に採択された。Dス・AI教育X推進計画では、本研究テーマでも研究対象としている学修者本位の数理・データサイエンによるデータ分析力の醸成を図っている。DX推進計画サイトでは、これらの研究の進捗などを公開している。
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Research Products
(7 results)