2020 Fiscal Year Research-status Report
ICTを活用した発達障害児の社会性トレーニングの実践-教材開発と効果検証-
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19K03093
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
本間 優子 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (40410253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 役割取得能力 / ゲーミフィケーション / デジタル絵本 / アプリ / 通級指導教室 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は2019年度に開発した,主に通級指導教室に通級する小学校中学年以上の児童を対象とした,ゲーミフィケーション機能を新たに加えた役割取得能力を促進することを目的するトレーニング用デジタル絵本「こころえほんJr.ゲーム」(アプリ)の評価実験を行った。さらに,「こころえほん」をベースに新たにゲーミフィケーション機能として,丸付け機能の開発を行い,「こころえほんJr.ゲーム」の神経衰弱ゲーム部分を活用した,主に通級指導教室に通級する小学校低学年の児童を対象とする「こころえほん あかペン」の開発および評価実験も行った。 まず,「こころえほんJr.ゲーム」については,小学4年生女児3名に対する評価実験を実施した。評価実験の結果,ゲーム機能については,神経衰弱ゲーム以外の機能を付与する等の課題が明らかとなったが,役割取得能力やクラス内行動,採点機能,トレーニング態度全般に対する評価結果から,ゲーミフィケーション機能を有した役割取得能力トレーニング用アプリとして適切な設計であることが確認された。 「こころえほん あかペン」に関しては,以下の機能を「こころえほん」に付与した。①「しつもん」に対する回答の得点化:子どもの回答を三角、丸、花丸の3レベルで得点化し,「まとめ」のページで一覧表にし,視覚化できるようにし,達成感を高める仕掛けとした。 ②神経衰弱ゲームの活用:「こころえほんJr.ゲーム」でオリジナルで開発した神経衰弱ゲームを行うことができるようにした。神経衰弱ゲームは,毎回のトレーニングのご褒美と短期記憶のトレーニングを兼ねている。評価実験を通級指導教室に通級する発達障害傾向を持つ小学2年生男子2名に対し行い,開発コンセプトに合ったシステムを開発できたことが確認された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は予定どおり,開発したアプリを用いた評価実験を行うことができたため。また,Covid-19により,予定していたオーストラリアへの実地調査は実現しなかったが,代替案として現地の小学校教諭とZoomミーティングを行い,現地で実際にどのような形でICTが活用されているかに関する情報収集および,本研究で開発したアプリの動作を動画ファイルにより視聴してもらい,ディスカッションを行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は「こころえほんJr.ゲーム」については,以下の3つの検討を予定している。 ①小学校中学年以上の男児を対象とした評価実験②ゲーミフィケーション機能の付与されていない役割取得能力トレーニングアプリ「こころえほんJr.」を用いた際の,子どものトレーニングに対するモチベーションの比較検討③トレーニングを行わない,対照群の児童の役割取得能力の変化について比較検討 「こころえほん あかペン」についても,以下の2つの検討を予定している。①小学校低学年の通級指導教室に通級する発達障害傾向をもつ被験者を追加し,評価実験を行う②小学校低学年の定型発達の児童についても、ゲーミフィケーションの設計の効果について検証を行う
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Causes of Carryover |
2020年度はオーストラリアにおける小学校でのICT活用の実際について,現地で情報収集を行う予定であった。しかしながらCovid-19のため行うことができなかったため,大幅に剰余金が生じた。渡航できなかったが代替案として,Zoomミーティングにより現地の小学校教諭から情報収集し,新たな知見を得ることができた。また,学会もすべてオンライン開催となり,旅費の使用がなかった。繰り越した助成金についてはZoomミーティングにより得た知見を反映したアプリの機能の修正や,さらに分析を多角的な観点から行うため,トレーニング映像を解析するための分析ソフトの購入,成果を社会に還元するためのHP製作費に用いる予定である。
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