2020 Fiscal Year Research-status Report
拡散的思考の支援を基盤としたアーギュメント生成を促進する学習環境の開発
Project/Area Number |
19K03097
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
西森 章子 広島修道大学, 人文学部, 准教授 (50294012)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 根拠産出トレーニング / 裏づけ発想トレーニング / 思考支援 / ICT環境 / 意見文 / 原因推測 / 大学生 / 高校生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の核心をなす学術的「問い」は、学習者の拡散的思考力を促進する学習環境とは何か、である。このとき「拡散的思考力」は、意見文を生成する場合に、「ひとつの主張について、その主張を支える根拠あるいは裏づけを数多く、幅広い視点から考える力」として機能する。また、何らかの問題を発見する場合には、「ある行動が見られる場面について、その行動の背後にある原因を数多く、幅広い視点から考える力」として機能する。 2020年度は、新型コロナ感染症の拡大が大学環境に大きく影響し、研究活動が大幅に制限されたため、研究のための環境開発や実験データの収集が非常に困難であった。そこで、これまでに収集したデータを分析することにより、拡散的思考と学習者の個人特性との関連性について基礎的検討を進めることとした。特に、意見文生成の場合での拡散的思考と個人特性に関する検討はすでに行っているが(西森・三宮、2016など)、問題発見の場合での拡散的思考と個人特性との関連性については検討されていなかった。そこで、大学生105名を対象とし、オフラインの質問紙法によって調査をおこなった。その結果、拡散的思考の程度(どの程度さまざまに思考を多く、幅広く思考を働かせることができるか)と、学習者における知識の量及び経験の度合いとの間については、有意な関連性は見いだすことができなかった。これまでにも、拡散的思考の程度と学習者の知識の量(教科や科目などの成績)は関連しないことが示されていることから、教科や科目の学習に関連をもたせつつも、独立した学習環境を構成することの必要性が示唆されたと言えるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」にも示したとおり、2020年度は、新型コロナ感染症の拡大が大学環境に大きく影響し、研究活動が大幅に制限された。研究に関する検討(オンラインの学習環境のアプリケーション開発)及び実験データの収集を進めることが非常に困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、特にオンラインでの学習環境開発(タブレットPCを中心とする)を最重要課題として進め、データを的確に収集することに注力する。 具体的には、オンライン学習環境下で促した拡散的思考(意見生成における根拠/裏づけの産出)の結果について、オフラインでの学習環境下での結果と比較検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による影響により、研究活動が大幅に制限されたため、研究打ち合わせ、学会発表などの旅費、人件費等について支出が困難であった。2021年度については、前年度と同じ状況が続く可能性があるものの、その分学習環境の開発や、研究成果の公表に必要な経費(英文校閲など)に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)