2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on development of science and technology communication method using drama and evaluation of educational effect
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19K03105
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
種村 剛 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (20759740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 直之 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)
古澤 輝由 立教大学, 理学部, 特任准教授 (50814919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 科学技術コミュニケーション / 演劇 / 教育 / 市民参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】演劇を用いた科学技術コミュニケーションの実践として、弦巻楽団×北海道大学CoSTEPコラボレーション企画「インヴィジブル・タッチ」を、2020年11月にJSTの主催するサイエンスアゴラで、オンラインで実施した。この演劇では、接触確認アプリ(COCOA)の社会実装とそれにともなう法的倫理的社会的問題(ELSI)を扱った。インヴィジブル・タッチの特徴は、演劇の専門家との協働し、科学技術のメリットとデメリットの比較だけではなく、そのような状況における登場人物の立場や価値観(コンテクスト)を伝え、その上で先端科学技術の社会実装の是非を考える市民参加の対話の場として設計している点である。またこの演劇実践の録画は高等学校の探究の授業で使われている。これは図らずしも演劇実践が第6期科学技術・イノベーション基本計画におけるSTEAM教材として利用されていることを示している。 【意義・重要性】科学技術コミュニケーションに演劇を用いることで、科学技術のメリットデメリットを考えることだけではなく、それぞれのステークホルダーの価値観や社会的立場などの「コンテクスト(文脈)」の違いを含んだ情報提供および市民対話が可能になることが明らかになった。また、教育効果として演劇制作に関わった者が、当該の科学技術の内容理解を深めたり、異なる他者の価値観を想像することの重要性に気づいたりすることがわかった。また、演劇制作過程において脚本を作り、演じることが学習者に与える影響についても知ることができた。とりわけ、参加者同士の対話のきっかけとなる演劇作りを通じて、当事者が捉えている科学技術の問題の言語化していく過程を観察できた。これはいわば演劇制作にかかる熟議の過程において、科学技術の法的・倫理的・社会的問題(ELSI)のうち、人々の社会的問題意識の構築過程についての所見を与える点において、意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績】1)接触確認アプリCOCOAを事例とした演劇の実施のために接触確認アプリの社会実装におけるELSIをまとめたノートを研究代表者が査読付きジャーナルに投稿し、掲載された。2)上記演劇の制作過程における、演劇の専門家と科学技術コミュニケーターの協働を参与観察した結果について、研究代表者が学会報告を行った。3)研究代表者が昨年の研究実践をまとめた報告が、査読付きジャーナルに掲載された。4)研究代表者が昨年の研究実績である「科学技術コミュニケーションに求められているコミュニケーションスキルとは?:2000年代の「コミュニケーション能力」概念との関連から」に大幅に加筆修正を加えた論考をまとめ、共編著の1章として掲載した。 【途中経過】1)2019年度に実施した演劇を用いた科学技術コミュニケーション実践の教育効果をまとめた論考を、査読付き紀要に投稿し4/1付で掲載が決定した。2)接触確認アプリCOCOAを事例とした演劇実践の分析を2報をそれぞれ投稿中である。 2020年度の研究としては当初3事例の活動実践を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で実際に行えた活動は1事例にとどまった。しかし、この事例については、制作の原案として接触確認アプリのELSIをまとめたノートが査読付ジャーナルに投稿・掲載され、制作過程の参与観察を行い学会報告1報を実施し、現在1報が掲載決定し、2報が投稿中である。以上より、本研究課題の進捗は、実践についても、その実践の分析についても、概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もまた、新型コロナウイルス感染症の影響で、演劇の実践が困難になることが予想される。そのため、第一に、演劇を使った科学技術コミュニケーション、とりわけ先端科学技術の社会実装をめぐる、多様な価値観をもつ人々の意見交換の有り様を演劇で表現した、演劇動画教材の作成に着手したいと考えている。これは、演劇を用いることで、技術の社会実装時に生じる、制度的、倫理的、社会的問題を扱う、STEAM教材になりうると考えている。今回はテーマとして、ヒト受精卵に対するゲノム編集を扱う予定である。そして、第二に、上記のSTEAM教材の制作過程における、参与者の先端科学技術の受容態度の変化について、参与観察やアンケートを通じて明らかにすることを試みる。第三に、今年度は本科研の最終年度なので、3年間の研究をまとめた報告書を作成する。
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Research Products
(8 results)