2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of students' global competence by scientific inquiry of river environment
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19K03113
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
真山 茂樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40199914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10282691)
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル・コンピテンス / 河川環境 / 科学的探究 / 珪藻 / 水質問題 / 水生昆虫 / シミュレーション / 博物館標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国は過去に水質汚染という負の歴史を持つ。一方、途上国にとってそれは今日的問題である。時代こそ異なるが、両者は水質汚染という経験を共有している。先進国と途上国の双方の学習者が、科学的な探究の過程を経て過去と現在の河川環境の実態と原因を相互に理解し、同時に、国家間における社会システムや文化の相違を偏見なく理解し、さらに問題解決へ向かう態度が養われる実物標本とウェブベース教材と教授プログラムを開発することが本研究の目的である。 このため、先進国と途上国の学習者が、環境指標生物として知られる珪藻の、過去と現在の同一地点から得られた各国の標本を比較し、従来申請者らが開発してきた環境シミュレータを用いて環境攪乱の原因を探求し、さらに、過去と現在の河川の写真等の環境アーカイブ教材を交え2ヶ国以上の学習者が討論することで学習を深めていく。これらの過程を分析し、グローバル・コンピテンス育成の効果を実証する。 2019年度は教材開発として日、米、インドの河川から得られた珪藻標本を授業用に整えた。また、オンラインシミュレータ“SimRiver”の表示システムの改良を実施した。また、90年代前半の都内汚濁河川の動画をデジタル化し、6月にバンコクで撮影した汚濁河川および数年前にインドで撮影した汚濁河川の動画と共にウェブ教材に登載した。また、異なる水質の河川のマクロの様子を疑似体験する、川虫探索ゲーム“MushiRiver”を米国セントクラウド州立大学の研究協力者らと開発し、プログラムをウェブ登載した。また、インドにおいてSimRiverを使用した授業後に回答した約300名の生徒の意見と感想を整理し、内容が異なる代表的なもの6つをピックアップした。 これらの教材を使用する3時間の実践プログラムを開発し、私立高校1年生50名に対し授業を実施した。授業前・後にアンケート調査を行い意識の変化を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度予定していた教材作成は約9割を達成できた。年度末にインドで開発する予定だったものは、世界的なコロナウィルス感染拡大の影響で渡航ができず、達成できていない。また、2020年度に同国で実施する授業の打ち合わせもできなかった。 また、国内の授業における実践研究も、3月に実施予定していたものが、コロナウィルスのために実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では2020年度は、米国およびインドで実践研究を行う予定であり、かつ、ドイツとブラジルの研究協力者にも標本探索作業と授業実践の依頼を行う予定であったが、現在の新型コロナウィルスパンデミックの状況下で、いつ、どのような形態で実施できるか不明である。さしあたり、2020年度は国内の学校で授業実施の可能性を聞きながら、研究を行う予定である。 しかし、先進国と途上国の生徒が、理科の授業によって互いを知り合うことで、グローバルコンピテンスの育成を目指すという研究の本質上、海外での授業実践抜きで研究目的の達成は不可能に近い。本研究は3年間で完了する予定であったが、今後の世界のウィルス感染者状況を見ながら、最終年度を1年延長することも視野において研究を進めることが必要と考えている。
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Causes of Carryover |
2月に予定していたインドでの教材開発と、授業の打ち合わせが、新型コロナウィルス拡散防止のため入国制限により渡航できなかったため。
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