2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the effect that gender difference of non-verbal communication brings to science education
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19K03114
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村田 享香 新潟大学, 経営戦略本部, 准教授 (40529393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 恵子 (村山恵子) 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任講師 (40404058)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 非言語コミュニケーション / 性差 / 女子中高生の理系進路選択支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,令和2年度に引き続き,平成30年度に同一受講者(中学生)に対して実施した8回の科学講演について,講演中の講師のビデオ映像の行動コーディング分析を中心に,受講者アンケートにおける講師の話し方やスライド表現の印象と講師の行動との関連の分析,分析の過程で必要になった参考文献や先行研究の文献調査を進めた。 令和2年度の研究により,データセットの科学講演8回のうち,分野は近いが,講師の性別と受講者アンケートの回答傾向が異なる2講演;講演A(女性講師,女子生徒からの評価が高く,男子生徒からは評価が低い傾向),講演B(男性講師,男子生徒からの評価が高く,女子生徒からは評価が低い傾向)では,講演Aに多くBには少ないNVC1があることが示唆されていたが,今年度の研究で,新たに,講演Aには少なくB に多いNVC2も見つかった。この二つのNVCの性質が偶然によるものなのか,性別に依存する可能性があるのかを確認するため,残る6講演フルセットの行動分析が必要となった。そこで,令和2年度に開始していた,話し方(声の大きさや口調など)やスライド表現の分析については一旦中断し,NVCの行動分析に注力することとした。また,NVCと受講者アンケートの回答傾向との関連性を評価するための分析方法や,非言語コミュニケーションの性別依存性に関する更なる知見を必要としたため,先行研究及び参考資料等における文献調査を行った。 なお,理工系で特に男性の多い分野とそうでない分野での講師のビデオ映像データについては,撮影を予定していた研究協力者の機関における研究発表会が新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から部外者参加禁止の措置をとったため,取得できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NVCの解析には,株式会社クレアクト・インターナショナルのCAPTIVを使用したが,30分の講演映像を5つの行動で分析するのに膨大な時間がかかった。加えて,研究代表者及び研究分担者が多忙を極め,実質的に調査を行うのは研究員1名のみとなってしまったここから,その他の分析を中断せざるを得なかった。しかし,講師のNVCの解析に注力したことにより,「講師のNVCが,科学講演における性差の観点から,興味深い性質を示す」という本研究にとって重要な結果が見えてきたため,「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初,令和3年度で終了予定であったが,上述した通り,CAPTIVによる行動分析に膨大な時間がかかることや,研究代表者と研究分担者が多忙を極め,エフォート分の研究時間の捻出が非常に厳しい状況となったため,期間を1年間延長することとした。 令和4年度には,これまでに行なってきた講師のNVCについての行動コーディング分析を精査し,特に,性差の観点で特徴的な性質を示したNVC1とNVC2について,受講者アンケートの回答傾向との関連性の有無を明確にする。また,スライド表現の解析を再開し,その結果を受講者アンケートの回答傾向と比較することにより,受講者が高く評価した講演全体で注目していたものの一端を明らかにする。ここまでの内容から,女子中高生の興味を喚起し,女子中高生が高く評価する講演における講師のNVCを特定し,女子中高生の科学への関心をより高めるNVC表現技法を提案することを目指す。 最終的には,これらの研究で得た知見を論文や研究集会等において発表するとともに,実際の科学講演において,提案するNVC技法を実践してその効果を検証したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により,予定していた研究協力者の所属機関における卒業研究発表のビデオ撮影を断念したこと,研究分担者との対面による打ち合わせが行われなかったことから,旅費その他の必要経費が使用されなかった。 卒業研究発表のビデオ撮影に関しては,状況が許す限り,翌年度に実施する予定である。また,翌年度は最終年度であることから,研究集会等を計画し,本研究結果を広く公表するために使用する予定である。
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