2022 Fiscal Year Research-status Report
教員グループの協働により探究能力を育成する授業研究ネットワークの構築
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19K03115
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 琢 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70377943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 科学探究能力 / 探究活動 / 理数授業 / 中等教育 / カンボジア / 授業評価 / 教員研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の中等教育の理数の授業において,科学探究能力を育成する指導法の開発と普及を目的としている。4か年の最終年度である2022年度は次の4点について研究を推進した。COVID-19の影響により,海外での実践はオンラインで行い,現地を訪問する活動は実施できなかった。 (1)これまでに追跡調査してきたスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の課題研究などの探究活動の事例と指導法と教育内容を整理し,正課の理科授業において,探究活動に応用している事例を収集した。小中学校の理科授業も実地調査し,探究活動を取りれた事例の収集し整理した。 (2)探究活動を取り入れた授業法を研究する教員間の授業研究ワーキンググループ(授業研究WG)で,探究能力を伸ばす要素を盛り込んだ正課の探究的な授業の事例を共有し,小中高等学校で授業設計,実践,相互参観,評価する事例を蓄積した。小学校8校,中学校6校,高等学校2校,大学1校から,計28名の教員が参加した。 (3)日本で開発した探究活動を取り入れた授業方法を海外に普及させるための教材を作成し,カンボジアに普及させた。王立プノンペン大学の研究者,National Institute of Education (NIE)の教員と公立小学校,公立中学校,私立高等学校の教員からなる授業研究WGで,教員研修のための高等学校理科の授業教材を作成した。教員用の解説教材も作成し,WGで共有した。 (4)カンボジアの高等学校の教員向けに,オンライン授業研修会を開催し,25名の理科教員が参加した。物理の電気分野で探究活動をベースとした授業を実践した。日本型の探究的な学習方法を講義で解説し,高校教員を生徒役として2時間分の授業を実施した。授業研究WGで評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は中等教育の理数の授業に,教育効果の高い探究活動を取り入れた正課の授業パッケージの開発と普及を目的に,以下の通り推進している。COVID-19の影響により,カンボジアを訪問しての授業研究会を実施できなかったので,研究を1年間延長することにした。 (1)科学探究活動の教育効果を測定する探究能力調査を推進し,2022年までに総数23000名を超える高校生の回答を得て,大規模な動向をまとめた。この調査は科学探究能力を6つのカテゴリーの分類し,カテゴリー別に定量的に測定するものである。この結果を高等学校にフィードバックし,授業研究WGで探究型授業の実践例を収集した。新たにWGで授業開発につなげており,相互評価する段階にある。 (2)小中高等学校の理数教員と大学教員からなる授業研究WGで,探究能力調査の結果やSSHにおける探究活動の指導法,授業における展開例を共有した。開発した評価ツールを用いて実践を評価し,授業設計に活かした。授業研究WGで授業研究を行い,中学校では8回の探究型授業の実践と評価を実施した。また,新たに小学校でも4回実践した。 (3)日本の探究型の理科授業をカンボジアへ普及させ,効果を検証するために,王立プノンペン大学の研究者,NIEの教員,私立高等学校の理数教員を中心とした授業研究WGで,教員研修のプログラムを設計した。現地教員の意見も取り入れて,高等学校の物理の電気分野の内容で,探究型授業を実践し,現地の高校教員25名を対象にオンラインで実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は4年間の計画で4年が終了したが,コロナ禍のために特に海外との研究で現地訪問ができないことにより,計画の変更を余儀なくされた。このため,研究計画を1年間延長し,まだ実施できていない点について,以下のように実施する計画である。 (1)探究能力調査の結果をわかりやすくまとめ,教員用の授業研究に役立てるパッケージを作成する。 (2)授業研究WGで小中学校および高等学校の成果をもとに開発した教材と指導法のコンテンツをまとめ,web上で公開することにより,参加者を増やし広く普及させる。 (3)カンボジアの中学校及び高等学校教員を対象にした,探究型授業の教員研修と模擬授業を物理分野で開発し,現地で実践する。教材開発にカンボジアの理科教員が主導できるように支援する。引き続き,オンラインでもカンボジアと日本の理数教員からなる授業研究WGで,教材の検討と実践,評価を行う。
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Causes of Carryover |
当初,カンボジアを訪問して理科教員対象のワークショップおよび授業研究会を実施する計画であったが,COVID-19の影響により現地訪問ができなくなった。授業研究会の中で実施する予定であった教員研修の備品は現地に送ることで,オンラインの方法でもほぼ目的を達成できた。一方で,現地訪問でできなかった現地での授業研究の内容もあるため,1年間研究を延長し,2023年度まで研究を継続することとした。
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Research Products
(8 results)