2022 Fiscal Year Annual Research Report
希少種の野生復帰を実施・計画する自治体におけるESD課題の析出と体系化の試み
Project/Area Number |
19K03121
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
本田 裕子 大正大学, 社会共生学部, 教授 (00583816)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コウノトリ / 兵庫県豊岡市 / ふるさと教育 / 環境教育 / 新型コロナウイルス(COVID-19) / 地域のシンボル / 環境のシンボル |
Outline of Annual Research Achievements |
大きく2つの柱に分かれる。一つ目は、コウノトリの野生復帰が日本で最初に実施され、「コウノトリとの共生」をまちづくりの柱としている兵庫県豊岡市で2017年度から取り組まれているコウノトリ学習(小学校5年生対象)について、学習状況と効果をまとめた。 前者の学習状況については、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も含めて、小学校の担当教員にインタビューを行った。結果、コロナ禍でもコウノトリ学習をおおむね予定通り展開できていたことがわかった。コロナ禍以前は課題であった小学校内のインターネット環境も改善され、GIGAスクール構想の下で1人1台タブレットがあることにより、調べ学習もインターネットを使うことが浸透していた。 後者の効果については、まずこれまで小学校5年生を対象に実施してきたコウノトリ学習に関するアンケート調査の3年間分の結果を整理・分析し、「コウノトリについて学ぶ」という意味での学習効果が得られたことをまとめた。次に、小学校5年生時にコウノトリ学習を経験した現在の中学校3年生に対して、改めてアンケート調査を行うことによる、中期的な効果の把握を試みた。結果、ほぼすべての質問項目でマイナスに変化していることがわかった。小学校で実施したコウノトリ学習を中学校でも振り返ることの必要性を提起した。 二つ目は、これまで実施してきたコウノトリの野生復帰に関する市民アンケート調査に加え、新たに豊岡市民を対象にwebアンケート調査を実施し、「地域のシンボル」と「環境のシンボル」との関係について、考察を行った。豊岡市では「地域のシンボル」が確立する中、他の関係する自治体では「環境のシンボル」が確立していることを考察した。ただ、コウノトリが各地で野外繁殖に成功し、「コウノトリとの共生」をまちづくりの柱にする自治体も出てきているので、今後も継続した調査研究が必要となる。
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