2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Teaching for Developing a Notion of Space through the Awareness of the Object/Viewpoint Framework.
Project/Area Number |
19K03164
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
太田 伸也 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (50322920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空間の想像力 / 対象と視点 / 数学教育 / 空間図形の指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第3年次では,コロナ禍の影響により当初の3年計画を1年間延長することを視野に入れ,「対象/視点」(解決に都合のよい対象とそれを観る視点)を顕在化させるための教材研究・教材開発を継続した。 その一つは,現実場面での活動における「対象/視点」の顕在化である。例えば測量について,方法の習得や地図等の制作ではなく,現実場面での「対象/視点」の選択や決定を体験する活動としての価値に着目した。(太田・松原,2021) 第二に,天文現象を扱う理科の教科書等における,複数の視点から観た図を組み合わせた表現を分析し,その理解に必要な「対象/視点」の顕在化を論じた。例えば,太陽の見え方に関する「地球の自転を観る視点と地上から太陽を観る視点」の意識化,地球の公転による季節の変化を説明する図に内在する複数の視点の顕在化の必要性等について論じた。(松原・太田,2021) 教材開発については,袖ぐりの型紙の形を考える問題を式表現で解決する前に,空間図形としての観察場面を取り入れることを提案した。具体的には,円柱の斜め切断に置き換えた上で,円柱の縁に沿って移動するときの底面に対する傾きの変化を考える活動である(太田,2021)。斜面における経路を対象とし,その傾きの変化をとらえるための視点を選択する活動として「対象/視点」が顕在化される。 また,東京学芸大学附属中高数学教育研究会の公開授業研究会(オンライン開催)において,川村(2021)が「立方体の対角線がすべて同じ点で交わるといってよいか」という問題を取り上げ研究授業(中1)を実施した。目標の1つに「空間図形の性質について考えたり,問題を解決したりする際に,視点と対象を意識して空間内の図形を取り出し,直線や平面図形の動きに着目して考えたり,図形の構成要素に着目して考えたりすることができる。」を挙げている。生徒の活動については分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度もコロナ禍の状況が続いたため,研究は「対象/視点」を顕在化させる授業のためのテキストの開発の継続に焦点化し,テキストを用いた教室での実証,生徒の活動の把握等は新型コロナ感染防止に配慮し実施を見送った。それに伴い,テキストの完成も延期し内容の更新のための検討を継続した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況に鑑み,2022年度についても,テキストを用いた授業による実証及びデータをとるための教室への立ち入り等については,感染状況をみて対応を考えることとする。本研究としての最終年度にあたるため,「対象/視点」を顕在化させる授業のためのテキスト及び教師用授業書の案を成果とし,テキストの活用や実証は可能な範囲での部分的な取り組みに限定する予定である。
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Causes of Carryover |
中学校の実践での利用を試行するためのテキスト試案の印刷を2020年度から持ち越してきたが,新型コロナ感染状況が改善されなかったことに配慮し,テキストを用いての総合的な実践を見送ったため,昨年度までテキストの印刷を行わなかった。また,教材研究・教材開発の成果発表のための研究発表会,授業観察や研究協議がすべてオンライン開催となったこと,研究打ち合わせについても定期的にオンラインで行ったことにより,予定していた旅費・交通費を使用しなかった。 本研究の最終年度である2022年度については,実証のためのデータを得る目的に限定せず,テキストを作成・印刷して実践に利用できるようにする。また,研究発表や研究打ち合わせのための旅費・交通費については,今後の状況をみて利用することとする。
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Research Products
(5 results)