2019 Fiscal Year Research-status Report
空間認識能力も育むプログラミング教育における小学校6年間のカリキュラム開発
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19K03166
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
桐生 徹 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20713259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / 空間認識能力 / 異学年合同授業 / 研修プログラム / 授業参観 / フィジカルプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,児童が行うプログラミング教育においてプログラミング的思考を育むことはもちろん,教科横断的カリキュラム開発と小学校6年間の系統的なカリキュラム開発により,空間認識能力の向上をねらいとして実施した。 令和元年度では,高学年と中学年の児童を対象としたプログラミング教育を実施した。高学年児童には,ドローンを用いたフィジカルプログラミングを実施,中学年には,Scratchプロジェクトを開発し,タブレット型端末の画面上でドローンを飛行させるビジュアルプログラミングを実施した。それぞれをプログラミング教育で実施することで,空間認識能力向上について追究した。これらの研究は,学会で発表を行っている。 高学年,中学年による異学年合同授業の実施であるため,異学年合同授業における困難点や課題を把握するために,プログラミング教育に留まらず,理科での異学年合同授業を実施し,異学年における授業の課題等の基礎的データを取得した。また,教師の授業中の活動特に机間指導や児童の授業の振り返り等の基礎的データも併せて取得し,プログラミング教育実施に向けた課題を明らかにした.この研究は,学会での発表を行っている。 プログラミング教育の授業実施に向けた研修プログラムの開発においては,プログラミング教育の研修を,長野県総合教育センターや新潟県地域理科センター,新潟県や長野県の公立小学校で実施した。参加者の教師にドローンを飛行させたり,多角形を描いたりするプログラミングを組む演習等を実施した。その過程から参加者である教員の要望や困難点の情報を収集した。また,プログラミング教育の授業公開を取り入れた研修開発のために,参観している教師の様子などの基礎的データを取得した。この研究は,学会での発表を行い,1点は学会誌への掲載が予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間認識能力を育むプログラミング教育を実施するために,本年度は以下の3点を取り組んできた. 1点目は,ドローンや自在に動く球体ロボット,Scratchプロジェクトを用いた異学年合同授業の実施と児童の学びを明らかにすることである.開発教材が空間認識能力を育む可能性を検証した. 2点目は,プログラミング教育を二学年合同授業で実施するため,異学年合同授業での課題を明らかにする取組である.そのために,教師がどのような態度で授業中児童と接することがよいのか,机間指導を中心に分析を試みた.さらに授業後に子どもが授業をふり返る記述に表れる課題も分析対象とした.これらの検証で異学年合同授業の課題とその解消に向けた教師の手立てが明らかになった. 3点目は,教職員を受講者とした研修会の実施である.プログラミング教育の完全実施前年ということもあり,プログラミング教育の研修実施に積極的に協力してくれる学校が多く,教師の必要感も高いことから研修を実施でき,研修時の課題や教師のプログラミング教育に対する課題を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,小学校6年間のカリキュラム開発をメインとしているが,現在は,中学年,高学年の単独での実施を検証してきている.低学年も含めた一貫性のあるプログラミング教育のカリキュラム開発を行っていくことが,今後の研究の柱になる。そのためにコンピューターの機種選定し,micro:bitコンピューターとセンサーを購入計画を立て,授業実践することで,小学校6カ年を一貫したカリキュラムを開発することを推進していく. また,教職員のための研修で用いるテキストを制作することは未実施であることから,このテキスト作成についても,今後の研究として推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況として,「物品購入費」において購入予定のmicro:bitコンピュータとそのセンサーに対する機種選定に向けた情報収集が遅くなったことにある.そのため購入を断念した.次年度以降は,micro:bitコンピュータの機種選定をした上で購入する計画である.これを用いてプログラミング教育を実践することにより,小学校6カ年の一貫したプログラミング教育のカリキュラム開発が完成する見込みである. 「その他」で計上した経費は,教員向け研修で使用するテキストを初年度に計上していたが,それを作成できなかった点にある.先のmicro:bitコンピュータを用いたプログラミング教育を実施することにより,カリキュラム開発が完成することから,教職員向けの研修会で配付することができるテキストを作成する見込みである. 「旅費」として計上した経費は予定より多くなったが,職員向けの研修を初年度からも積極的に引き受けたことによる.この経験で研修に必要なスキル,教師の要望などの情報を得ることができたことから,次年度もより多くの研修での情報取得を目指し,よりよいテキストづくりを行っていく計画となっている.
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