2022 Fiscal Year Annual Research Report
学校との協働による「菜の花しらべ」の展開に向けた実施モデルの構築に関する研究
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19K03167
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
西沢 徹 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (80414382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アブラナ類 / 生物教材 / DNAマーカー / 環境調査 / 理科教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
実感を伴いながら「生物の多様性と共通性」を捉えることができる生物教材の開発を目的に,本研究では身近なアブラナ類に着目した。アブラナ類の群落は,身近にありながら,種の多様性を有している点で,観察と野外調査によって体感的に植物集団の多様性を捉える学習プログラムの題材として,大変魅力的な存在である。 カラシナは外部形態から比較的容易に識別することができる一方で,アブラナとセイヨウアブラナは互いに識別が困難な場合が多く,種の識別にはDNAマーカーが必要とされる。この点を打開するために,先行研究において分子マーカーの開発を進めてきた。本研究では,分子による種判別の系を確立し,附属義務教育学校や地域の学校と協働して,野外調査の実施主体(地域の小中学校)とDNAによる種の判別を行う機関(種の分析センター,福井大学)との連携を,試行的に実施することを目指していた。 しかしながら,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う,対外的な活動や移動の自粛,学校現場における感染防止対策の徹底方針を受けて,特に学校現場との協働的活動や,子どもたちが参加する活動は,計画通りに推進することがかなわず,まだ途上となっている。一方で,前年度までに採取した既存試料等を活用して,マーカーの候補対象となっている遺伝子座を対象に,安定したPCR条件ならびに変異検出法の検討をおこなってきた。令和4年度は,これまでの先行研究で野外集団の試料が得られていない,嶺北北部や奥越地域で予備的な野外調査と試料採集をおこない,次年度以降,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が落ち着いたり,5類感染症への移行を受けた生活様態の見直しが確立したりした環境下で実施する調査に向けた準備を行った。大学と学校現場との協働による環境調査活動の試行については,令和5年度から新たに採択を受けた課題において継続を図り,モデルケースの構築を目指す計画である。
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