2021 Fiscal Year Research-status Report
Survey and Study of "Etsuki Sangaku", Mathematical Tablets with Illustrations, in Fukui, and Empirical Research on the Use of Etsuki Sangaku in Mathematical Education
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19K03168
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
風間 寛司 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (20736673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 算額 / 和算 / 数学教育 / 郷土数学 / 福井県 / 地域教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は次の2点である。 ア 福井県における「絵付算額」を中心とした算額や和算書,写本,新資料の調査・研究を行う。 イ アの結果成果を次期学習指導要領と関連付けた地域教材「福井の算額研究ハンドブック」を開発し,科学教育への援用の可能性について実証的研究を行う。 【ア 調査・研究】コロナ感染症拡大防止により,本県に関係する可能性のある和算関係史資料の調査・収集を控えており,嶺南地区における未調査範囲への調査は行えていない。4月から,「江沼神壁耳目雙紙」の写しにある若山栄吉の算額の奉納先である山中医王寺を調査したが算額は現存せず,資料もなかった。また,五十嵐小豊次(篤好)が序文を記していることから,富山県で五十嵐に関する史資料の調査収集を実施した。9月に鯖江市教育委員会文化課が同市上河端町天明神社(旧新出 新明神社)に建造物調査に入った際に,所在不明であった「絵付算額」1面が再発見され,本県の現存算額は23面となった。連絡を受けて調査・研究を実施した際,赤外線カメラによる文字の判読を実施し,結果を日本数学史学会で公表した。3月に福島県三春町厳島神社,田村市船引安倍文殊堂の「絵付算額」を調査した。 【イ 科学教育(特に算数・数学教育)への援用】初年度から継続していた鯖江市東陽学区をパイロット地区として予定していた出前授業による実証的研究はコロナ感染症の第6波と重なったため実施できなかった。しかし,作成した教材を用いて小学校1校で教員による授業が実施できた。オンライン開催の国際学会に参加して情報収集し,短編の映像資料を提供する学習等の知見を得た。これまでの研究成果は,本学の講義や本学ジュニアドクター養成塾において,学生,児童・生徒に紹介した。また,大学生のPBLにおける福井市立図書館等への出前授業や現存算額のリーフレット作成に研究成果の一部を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は次の2点であり,それぞれについて進捗状況を示す。 ア 福井県における「絵付算額」を中心とした算額や和算書,写本,新資料の調査・研究を行う。 イ アの結果成果を次期学習指導要領と関連付けた地域教材「福井の算額研究ハンドブック」を開発し,科学教育への援用の可能性について実証的研究を行う。 【ア 調査・研究】進捗状況は,遅れている。第1年次は,調査・研究の一部を研究会や学会において発表したが,第2年次は,コロナ感染症拡大防止により,本県に関係する可能性のある和算関係史資料の調査・収集はほとんど実施できなかった。学会等は中止または延期となった。第3年次も,コロナ禍が継続したため成果が少ないが,所在不明であった鯖江市上河端町天明神社(旧新出 神明神社)の「絵付算額」が,鯖江市教育委員会文化課の建造物調査の際に再発見され,本県の現存算額は23面になった。また,調査・研究,研究成果を公表することができた。学会等はオンラインにより開催されるようになり,研究結果を発表できた。本県の嶺南地区における未調査範囲への依頼については,調整中のままである。 【イ 科学教育(特に算数・数学教育)への援用】進捗状況は,遅れている。第1年次は,現存算額23面のうち,8面の教材化の検討を行い,小学校3校,中学校1校,高等学校2校において授業実践を実施した。第2年次は,鯖江市をパイロット地区にして,小学校2校(内1校は新規),中学校1校で授業実践を実施した。第3年次は,児童・生徒,本学の学生,一般の方に向けて,教材の一端を援用してみているが,実施はコロナ禍における制約が大きく,授業実践はできなかった。この状況下で本学のジュニアドクター養成塾は3年間継続できており,研究成果の一部を紹介することができた。一方で本学と鯖江市以外では,授業実践が実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍において,調査や学校現場の状況における授業実践に遅れが生じている。推進に不透明さや困難さが残るが,実施可能な範囲で方法を探索しながら,生じた遅れを取り戻すように計画を見直していく。 【ア 調査・研究】第3年次までに収集した史資料の整理・研究と,文献研究を中心に進めていくが,調査・史資料収集が計画通りには進んでおらず,研究スケジュールを見直し,本年度も調査・研究を継続する。学会等がオンラインに移行しており,可能な範囲で情報収集する。調査・研究が終わらない場合は,研究期間を延長することも検討する。また,未調査範囲へのアンケート調査は郵送などの方法への切り替えを検討していく。 【イ 科学教育(特に算数・数学教育)への援用】第1年次から計画を前倒して実証的に授業実践を試行し分析を進めていたが,第3年次の授業実践はできなかったため,実施できた範囲での整理になる。最終年度であるが,研究期間を延長することを検討し,アの基礎研究に基づく教材化を進めていく。まだ授業実践できていない越前市,越前町,池田町,大野市のうち,越前市,越前町など可能な範囲での実証研究を進める。また,学校現場の教員にもこれまでに実施してきた内容を示し協議を進めていく。学校現場の授業実践が,困難な場合は,教材提供に留まる可能性もある。
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Causes of Carryover |
理由は,初年度末からの新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響である。その結果,調査や授業実践等の推進に大幅な遅れが生じている。また,本研究と関連する学会等が延期や中止となり,オンライン開催になったため使用できなかった旅費があり,可能な範囲での近隣の調査・研究の旅費等に充当したが残っている。また,福井の算額研究ハンドブックの作成にも遅れが生じたためその他の印刷費が残っている。旅費は,国内の学会に充当する。また,古文書の読解におけるAIの利用や研究のまとめや公表に向けて,パワーのあるコンピュータを購入したり,図書,物品の購入したりして充当する。 なお,調査・研究や実践が進まない状況が生じており,研究を延長して使用していくことを検討している。
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