2021 Fiscal Year Research-status Report
Class design to realize active-learning in the university physics education
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19K03171
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅田 貴士 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (40451679)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物理教育研究 / アクティブ・ラーニング / 『学び合い』 / DBER / PER |
Outline of Annual Research Achievements |
大学の物理教育において,「物理概念とそれらの理論体系の深い理解」を目的としたアクティブ・ラーニング(AL)を実現させるために,どのような授業デザインが有効なのか明らかにし,AL型授業の有効性を定量的・客観的に調べることを目的としている。 2021年度は引き続き、入門物理の授業と、専門力学の授業において『学び合い』を取り入れた授業デザインの試みを行った。授業の到達目標としての課題を与えて、課題の達成は生徒・学生に任せるという授業の進め方をおこなう。今年度は特に、課題とその達成条件の明確化を意識した課題の修正を行った。これによって授業中の教員の介入を最小限に抑えることができた。また、学生の課題達成状況の可視化を行うための工夫を数種類検討した。 その他、物理教育研究に関連した授業実践をいくつか行った。ピアインストラクションにおける話し合いグループの最適な人数を明らかにする研究では、ピアインストラクションを行う授業中に全ての学生に2~5名グループの話し合いを経験させたうえで、議論後正答率の向上や話し合いやすさを比較し、最適な人数を検証した。等速円運動における遠心力の認識に関するチュートリアルの開発と実践では、特に見かけの力は存在するのかという疑問に焦点を当てたワークシートを開発し、その有効性を議論した。さらに、水面波のシミュレーション教材を用いた授業実践と有効性検証の研究、さらに仮説実験授業をオンラインで実施した場合の有効性に関する研究などをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに以下の論文を投稿し、掲載された。 (1)「電荷の移動をシミュレーションする教材の開発と授業実践」電荷同士がクーロン力を受けて移動するモデルを採用したシミュレーション教材を開発し、高校生を対象とした授業実践を行った。電荷の動きがイメージしやすさが特徴の教材で、特に箔検電器の動作原理を学習する際に有効性を見出すことができた。 (2)「「橋渡し」を取り入れたILDsの有効性:ニュートンの第3法則の学習を事例として」オリジナルのILDsに加えて、橋渡しを意識した演示実験や課題を追加したオリジナルバージョンのILDsを開発し実践し、その有効性を明らかにした。 (3)「オンラインでの実施が物理テストの正答率に与える影響」物理テストをオンラインで実施することによって対面式の教室での回答に比べてどのような影響があるかを調べた研究。オンラインの環境では一部に真剣に回答しない受験者が発生する可能性を示唆した。 (4)「エネルギー変換の「保存則」と「不可逆性」を学ぶ授業の実践」熱力学の第2法則を対象としたチュートリアルを開発し、高校生を対象とした実践を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
入門物理の授業と、専門力学の授業において新しい授業デザインの試みを進める事ができた。2つの授業の実践を通して、課題や問題点が明らかになったため、それらを改良した授業デザインの考案と実践というPDCAのサイクルを回していくことを行いたい。 さらに次年度は、メリーランド大学が開発した「文脈に富んだ問題演習」を取り入れた授業デザインや、「オープンソースチュートリアル」の実践、さらにスマートカートを用いた授業実践などを進めて行きたいと考えている。 さらに、ピアインストラクションの有効性を検証するための授業実践を計画している。
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