2019 Fiscal Year Research-status Report
カリキュラム・マネジメントを意識した地震をキーワードとする探究活動の教材開発
Project/Area Number |
19K03173
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
根本 泰雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (30301427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 慎一 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00251455)
関根 秀太郎 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 地震防災調査研究部, 主任研究員 (90455254)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地震 / 地震に伴う地鳴り / 理科 / 教材開発 / 探究活動 / 高等学校 / 東京大学地震研究所筑波地震観測所 / マイクロホンアレー観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,2015年度から開始した「科学的に未解明な課題から作るESDも視野に入れた超学際的な高校「理科」の教材開発(挑戦的萌芽研究)(15K12394)」での成果に基づき,残された課題の解決に向けて観測を継続し,観測データを蓄積することを通して研究を発展させることが目的の一つである. 本研究1年目には,2年前から開発を始めた地鳴りの音源を探ることも目的とする観測システムの改良を行い,観測を継続して行った.例えば,これまではセンサーとデータロガーとして用いているPCとを結ぶ同軸ケーブルを,ケーブル保護のためにコルゲートチューブで保護してはいたものの,動物等による切断の危険性が課題として残されていた.そこで,同軸ケーブルの地中埋設化を行い,より安定して観測が継続できるように改良を施した. 観測データが集積する中で,データの解析を通して,地中部分のマイクロホンの設置方法に課題があることも判明した.そこで,マイクロホンをより安価に安定的に設置する方法の検討を行った.検討した方法のいくつかを2019年度中に適用する計画であったが,年度末に向けて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による出張の自粛要請が出されたため,2019年度中に検討した方法を適用して観測を継続することは適わなかった. 教材化に向けた研究では,高等学校1・2年生を対象として地震による地鳴りの録音を聞いて貰い,その反応を確かめることができた.ただし,S/N比が予想よりも悪く,シグナルを聞き分けるためには解説を要することが判明した.このことも,マイクの設置方法を再検討する結果に繋がっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定より進捗がやや遅れている.理由の一つは,2019年4月に研究代表者の異動があったため,研究活動を起動に戻すまでに時間を要したことによる.さらに,2019年度末に観測点へ出向き,地中に埋設しているマイクロホン設置方法の改善等を行う計画であったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による出張の自粛要請が2月に出されたため,2月以降に観測点へ行くことができなくなったことが挙げられる.このことが,遅れ気味となった一番の大きな理由である.また,このため,年度末に予定していたデータの収集も行えなかったことから,新規に取得する予定だった約3ヶ月分の記録の解析作業を進めることもできなくなったことにもよる. 2020年度となった以降も,観測点へ出向くことができない状況が続いている.本報告作成時点でも緊急事態宣言が5月31日まで延長されているため,少なくとも6月以降にならないと観測点へ向かうことができない状況にある. 本研究の2年目に計画していた,平成29年および平成30年に改定された学習指導要領による新教科書での使用用語の整理から開始する予定であった研究(令和2年度は小学校使用教科書が対象)も,本報告作成時点では6月以降まで教科書を手に入れることができない状況となっているため,しばらくは着手することができそうにもない. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期が見えない中,研究の遅れをいつどのように取り戻すか,世の中の動きを注視しながら,研究計画を練り直すことが目下の課題といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がある程度収束し,研究費の執行が通常通り行える時期がいつになるか見通せない中,定常状態に戻り次第速やかに研究活動を通常の状態にて再開することができるように準備を進める. 研究分担者,研究協力者とオンラインによる研究打ち合わせを行うことを通して,研究活動再開後すぐに発注すべき資材一覧の作成,発注納品後の観測システム改良計画の策定等を進めていく.あわせて,手元にある観測データの解析を進めていく.また,これまでの研究手順を踏まえた高等学校教員向け手引きの作成も進めていく. 研究活動再開後は,小学校新教科書の購入を速やかに行い,用語抽出と分析を進め,学術学協会大会発表に向けての準備,および2021年度以降の中学校新教科書,2022年度以降の高等学校新教科書での用語抽出と分析とによる成果が揃い次第論文化できるように結果の整理を進める.また,観測点に出向き,観測システムの改良を行うとともに,観測データの回収,解析を進める. 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)騒ぎを受け,オンライン授業での探究活動の取り扱い方法も,教材化を進める中に付け加える必要性を認識した.そこで,知り合いの高等学校教員の協力も得て,オンライン授業での探究活動のあり方も研究に追加していく検討を進め,2021年度以降の研究活動に取り入れていく計画を策定する. 当初の2年目の研究計画より進捗が遅れる可能性が現在の世の中の情勢を鑑みると大であるが,年度末までにできるだけ予定した計画に近づけるよう,逐次計画を見直しつつ研究を遂行していけるよう務める.
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Causes of Carryover |
(理由) 観測システムの改良のため,および2020年3月に開催が予定されていた国際大会に参加するため,予算の一部を年度末に向けて確保していた.しかしながら,年度末が近づいた時期に,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大により参加予定の国際大会の中止が決定された.このための予算も含めて観測システムの改良方法を再検討し始めたものの,現在までの進捗状況欄にも記した通り,観測点へ出向くことができなくなったため,観測点へ出向く分の交通費が未使用となったこと,および改良に必要な資材の購入手続きを中断せざるを得なくなったことから,次年度使用額が生じることとなった. (使用計画) 世の中の事態が落ち着きをみせ,出張可となった以降,予定より時期が遅くなってしまうものの観測システムの改良を行うことは研究遂行に向けて必須であることから,中断していた資材の購入を再開して使用する計画である.また,そのためには観測点へ出向く必要があることから,観測点への出張旅費としても使用する計画である.なお,参加を予定している2020年度の(公社)日本地震学会2020年度秋季大会の開催方法が現時点で未定のため,開催方法に依っては参加のために使用を予定している旅費等分の使用計画を再度検討する予定である.
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