2020 Fiscal Year Research-status Report
カリキュラム・マネジメントを意識した地震をキーワードとする探究活動の教材開発
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19K03173
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
根本 泰雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (30301427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 慎一 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00251455)
関根 秀太郎 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 地震防災調査研究部, 主任研究員 (90455254)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地震 / 地震に伴う地鳴り / 理科 / 教材開発 / 探究(的)活動 / 教員養成 / 東京大学地震研究所筑波地震観測所 / マイクロホンアレー観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度途中までの観測にて,地中部分のマイクロホンの設置方法を改善する必要があると判明したため,2019年度後半に地中部分のマイクロホンをより安価に安定的に設置する方法を複数案作成し,これらの方法を2019年度末から試す予定であった.しかしながら,2019年度末に向けてCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大による出張の自粛要請が出されたため,検討した方法での観測を試みることを2020年度に行うこととした. 2020年度になると緊急事態宣言が2回出されるなどCOVID-19の拡大による影響はさらに大きくなった.研究代表者,研究分担者,研究協力者ともに本務先による出張禁止命令や自粛要請が長期化し,観測方法の改良どころか,現地に出向いての保守点検,データの吸い上げを行うことさえも困難を極めた.そこで,リモートで観測データ等を確認する方法の検討を行うこととし,SINET広域データ収集基盤実証実験へ参加するための準備を開始した. 教材開発に向けての現状分析に関する研究では,2020年度から小学校での新課程による授業が完全実施となったことを受け,小学校「理科」の教科書分析を行った.旧課程で課題となっていた記述内容のうち,修正された箇所を確認できた一方,科学的にも問題が残る記述内容が引き続き残っている箇所を確認し,探究的活動へ繋ぐための教材作成に向けた試行実験を行った. また,探究的活動,探究活動を指導することとなる教員を目指す教員養成段階での課題の検討も行うため,教員養成段階にて理科がどのように取り扱われているかの実態調査も開始した.2020年度は小学校教諭二種免許状を取得するために学ばれている理科に関する授業の開講状況等を調査分析した.その結果,小学校教諭二種免許状を取得する学生の半数以上が高等教育段階(短期大学)にて理科に関する学びが皆無であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定より進捗が遅れている.遅れている一番大きな理由はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大による影響である. 具体的には,2020年度となって以降現在(2021年4月末)まで,研究代表者,研究分担者,研究協力者ともに本務先による出張禁止命令や自粛要請が長期化しているため.観測点に出向くことが困難を極めているだけではなく,研究打ち合わせのための会合も開けずにいるからである.事務的な議論等はZoomや電子メール,slackなどの使用でしのいでいるが,観測に用いる実機や教材開発のための試作品などを手にとっての打ち合わせが出来ないことは,本研究を進める上で大きな支障となっている. 観測を伴わない研究内容のうち,本研究の2年目に計画していた平成29年および平成30年に改定された学習指導要領による新教科書を用いた教科書分析研究(令和2年度は小学校使用教科書が対象)は,COVID-19の影響で入手が遅れ2020年10月にようやく新教科書を入手することが出来たが,着手する期間が予定より約半年遅れたため,分析等も半年遅れの状況にて進行が続いている.令和3年度に分析等を開始する予定であった中学校使用教科書も,2021年4月中に発注を行ったもののその後に緊急事態宣言(3回目)が出されたため,2021年4月末段階にて納入される時期が見通せない状況となっている.そのため,分析等に着手する時期は予定より遅れる見込みである. 2021年度もCOVID-19による影響が続くことが予想されるため,当初予定していた研究期間の見直しも含め,リモートでの観測点監視システムの構築など,研究の遅れをいつどのように取り戻すか,世の中の動きを注視しながら研究計画を練り直すことが,2020年度に引き続いての課題となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点(2021年度4月末)では,1年前と同様COVID-19がある程度収束し本研究を通常通り行える時期がいつになるか見通せない中,定常状態に戻り次第速やかに研究活動を通常の状態に戻すことができるように準備を進める. 2020年度と同様,引き続き研究代表者,研究分担者,研究協力者にてオンラインによる研究打ち合わせを行い,通常の状態が再開した際に発注すべき資材一覧の作成,発注納品後の観測システム改良計画の策定等を進めていく.あわせて,手元にある観測データの解析を進めていく.また,これまでの研究手順を踏まえた学校教員向け手引きの作成も進めていく. 小学校新教科書の分析等の遅れを取り戻せるように研究を進め,中学校新教科書に関しても入手でき次第分析等を開始する.また,2021年度は小学校教諭二種免許状取得に向けて本研究と関係する事柄に関して明らかとなった課題に関して論文化し,さらに小学校教諭一種免許状取得に向けての教員養成段階での,理科での探究的活動・探究活動指導力養成に関わる課題を明らかにすることも目指す.また,観測点としている東京大学地震研究所筑波地震観測所の建屋解体が予定されていることから,一度は密にならない範囲で関係者が出向き,観測システムの移築を含めた改良等を行うとともに,観測データを回収し解析を進める. COVID-19騒ぎを受け,オンライン授業での探究活動の取り扱い方法も教材化を進める中に付け加える必要性を認識したことから,2020年度に知り合いの学校教員の協力を得て,オンライン授業での探究活動のあり方も研究に追加していく検討を進めた.2021年度以降の研究にて取り入れていく. 当初の3年目の研究計画より進捗が遅れる可能性が現在の世の中の情勢を鑑みると大であるが,遅れながらも予定した研究成果が得られるよう,逐次計画を見直しつつ研究を遂行していけるよう務める.
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Causes of Carryover |
(理由)観測を行っている東京大学地震研究所筑波地震観測所への出張旅費の大部分,および研究打ち合わせのための出張旅費の全部がCOVID-19の影響により未使用となった.また,2021年度に参加を予定していた学術学協会大会がCOVID-19の影響にて全てオンライン大会となり,大会参加のための出張旅費も全て未使用となった. さらに,COVID-19の影響にて観測点へ出向くことができなくなったため,観測システムの改良を試しながら進めることができなくなり,そのため改良に必要な資材の一部しか購入出来なくなった.以上の理由で次年度使用額が生じることとなった. (使用計画)COVID-19の影響が薄れ出張可となった以降,筑波地震観測所での観測システムの改良を行うことは研究遂行に向けて必須であることから,改良に向けての資材の購入を不具合の状況を確認しつつ完成へ向けて使用する計画である.また,そのためには観測点へ出向く必要があることから,観測点への出張旅費としても使用する計画である.なお,参加を予定している2021年度の学術学協会大会も多くがオンライン大会となる見込みであることから,大会参加のために使用を予定している旅費等分の使用計画を再度検討する予定である.
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Research Products
(1 results)