2021 Fiscal Year Research-status Report
Tracking thinking processes of mathematics learners based on manipulation log and communication analysis of mathematics models and and its application to designs of classroom
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19K03175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
野田 健夫 東邦大学, 理学部, 准教授 (90431618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江木 啓訓 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30422504)
金子 真隆 東邦大学, 薬学部, 教授 (90311000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協調学習 / 対話分析 / 操作ログ分析 / 数理モデル教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、タッチデバイスで操作できる数理モデル教材の利用が「主体的で対話的な深い学び」にいかに結びつくかを客観的な根拠に基づいて明らかにすることにあり、学習者間の対話やデバイスの操作ログに関するデータを取得し統計的処理に基づいた学習活動の分析を行うことを目指している。特に、学習者が対話しながら1つのデバイス上の数理モデル教材を操作する状況を設定して高校生・大学生を被験者とした実験を行い、モデルの操作傾向の変化と対話の特徴量との連関の探求を目標としている。2021年度の実績の概要は以下の通りである。 (1) 操作ログの取得と分析:タブレットからブラウザを使って動的幾何コンテンツにアクセスし、その操作ログを取得するシステムを構築した。このシステムを利用し、2人の学生が数理統計に関するコンテンツを操作し証明活動を行う実験授業を行い、証明活動における探索的な段階と議論の定式化の段階との間に操作ログの特徴の違いが現れることを確認した。 (2) 操作ログと対話記録の連関の追跡:前項の数理統計に関する証明活動の実験において2人の被験者の対話記録を取得し、発話の内容のテキストおよび発話量の分析結果から思考過程との関連を考察した。これらの分析と前項の操作ログの分析を比較することにより、証明活動において問題の要点を意識し2人の対話によりキーワードが定式化され、結果をまとめるにいたる思考の展開との連関の一端が明らかになった。 (3) ジェスチャーの記録と分析:協調学生における参加者の対話は言語的なものとは限らず手の動きなどジェスチャーもその本質的な一部をなしている。対話の一種としてのジェスチャーを客観的に記録するために深度センサーカメラで撮影し、体動の記録を計測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動的幾何の操作ログに関しては、Moodleプラグインやオンラインコンテンツを活用して効率的に高粒度のデータを取得することができるようになり、データの分析フローを確立できている。これに続けて対話記録の取得とデータの蓄積、および対話に関する量的分析モデルの確立を目指しており、何度か行った実験で一定の成果を得ているものの、新型コロナウィルスの感染拡大により学生を被験者とする大規模な実験を行うことが困難になり十分な対話データを取得することができなかった。 今後も同様の状況が続く可能性はあるので、少数の実験から有効な結果を得られるよう実験・分析方法を再検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
動的幾何コンテンツの操作ログの取得システムは確立しているので、オンラインでの実験も実施し、対象を広げてデータの取得と分析を行いたい。また、データ分析フローが確立していることから、実験直後に被験者に操作過程とその意味付けをフィードバックし、思考過程との関係性も調べていきたい。 対話分析に関しては、当面は実験規模を拡大することは難しいと予想されるので、小規模の実験でデータの質を高めるよう実験手法やコンテンツを検討したい。 具体的には、指差しや身振りなど非言語的コミュニケーションを対話の一部とし、深度センサーなどを用いて客観的にデータ化し、操作ログ・対話記録と合わせてマルチモーダルな分析を行うことを目指す。 将来的には、グループ内の議論や操作の遷移や連関を特徴付ける客観的指標を見出し、その指標に基づいて学習者の状況に応じた指導者の適切な介入のあり方を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた学会がオンライン開催となり旅費を使用せず、また、多くの学生被験者を集めての実験を行うことができずに対話データ取得のための録音・データ蓄積用機材の購入を見送ったため、使用額が少なくなり次年度分に充てることとなった。今後は感染防止に配慮して学生を被験者とした実験を行うことができるよう、複数の端末を協働で操作できるよう機材を揃え、またオンライン上でログデータを収集するシステムを充実するためMoodleのオプション契約を行いたい。
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Research Products
(13 results)