2022 Fiscal Year Research-status Report
Information processing basis of aggressive behavior:Reconsideration of aggressive script and empirical examination.
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19K03188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒井 崇史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50626885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 直秋 筑波大学, 人間系, 准教授 (80633289)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 攻撃行動 / 潜在的測度 / 顕在的測度 / 評価的プライミング / マウストラッカー課題 / 潜在的態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題全体の目的は,攻撃スクリプトを測定するために,社会的認知研究の測定手法(評価的プライミング)を応用し,潜在レベルでの攻撃への態度が攻撃行動の発現に及ぼす影響を解明することである。この目的に対して,2022年度は,2021年度に精査した攻撃に対する潜在的態度を測定するマウストラッカー課題(Freeman et al, 2010)を用いて,潜在的態度が将来の攻撃行動を予測できるかどうかを検討することを目的とした。 2022年度は,まず,これまでに作成したマウストラッカー課題の刺激語に関して,各刺激語のわかりやすさ,攻撃的かどうか,ネガティブさの程度を調べるために,2021年度に約6,000名を対象に実施した予備調査のデータを分析した。最終的に,各刺激語の分かりやすさ,攻撃的かどうか,ネガティブさの高い刺激語を20語抽出した。また,この手続きで作成した課題刺激のほかに,先行研究に基づいて平和語,ポジティブ語とネガティブ語を選定し,これによって攻撃行動に対する潜在的態度を測定するマウストラッカー課題の最終バージョンとした。2022年度は,このように作成した最終バージョンのマウストラッカー課題を用いて縦断的な調査を行った。具体的には,大学生約20名を対象に2回にわたる追跡調査を行った。Time 1では,本研究で作成したマウストラッカー課題を実施した他,過去の攻撃行動の習慣などについて尋ねた。Time 2はTime 1の1か月後に実施し,Time 1からTime 2までの攻撃行動の頻度などについて測定を行った。2022年度中にこれらのデータについて予備的な分析を行うとともに,現在サンプルサイズを増やすために継続的にデータを収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度中の計画は,2021年度までに作成した攻撃に対する潜在的態度を測定するマウストラッカー課題を用いた縦断調査を行い,攻撃に対する潜在的態度が将来の攻撃行動を予測できるかどうかを検証することであった。こうした予定のもと,2022年度前半には,2021年度に実施した予備調査のデータを用いて攻撃に関連する文字刺激の選定を行った。また,2022年度の後半には,それまでに作成したマウストラッカー課題を用いて,攻撃に対する潜在的態度が将来の攻撃行動を予測できるかどうかを,1か月間隔で2度実施した追跡調査に基づいて検証した。しかしながら,2021年度までの進捗状況の遅れが影響して,2022年度中に縦断調査のデータを収集し終えることができなかった。現在でも継続的にデータを収集し,最終的には統計的な検定に耐えうるサンプルサイズとする予定である。当初の計画では,2022年度には縦断調査によるデータ収集を完了している予定であったことから考えると,当初の研究計画に対してやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策に関して,2023年度には現在進めているマウストラッカー課題による攻撃に対する潜在的態度の測定が将来の攻撃行動を予測し得るかどうか,縦断的な調査を完了させる。現状では,予定の半数程度のサンプルサイズに到達しており,引き続き,実験室でのデータ収集を進める。また,得られたデータの解析についても,最終年度となる2023年度中に完成させ,学会等での報告を行うことを計画している。なお,社会情勢に鑑みると,2023年度は前年以上に対面での実験,測定が可能になることから,一生研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
当該使用額が生じた理由は,2022年度までに実施を予定していたデータ収集やデータ解析が当初予定していたよりも遅れ,研究計画全体が後ろ倒しになったことが挙げられる。 使用計画については,2023年度には,前年度から繰り越した費用を当初の予定通りに攻撃に対する潜在的態度の測定が将来の攻撃行動を予測し得るかどうか検証する研究費用として執行する。その上で,最終年度の予算については,データ収集や統計解析に必要な消耗品の費用等として予定通りに執行する。
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