2021 Fiscal Year Research-status Report
International Migration and Subjective Well-being: Comparative Studies on Experiences of Asian nurses in Japan and in the UK
Project/Area Number |
19K03196
|
Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
浅井 亜紀子 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (10369457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 国際移動 / 主観的幸福感 / フィリピン人 / 英国 / 外国人看護師 / 外国人介護福祉士 / 二国間経済連携協定 / 異文化接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
EPAで来日しているフィリピン人介護福祉士への調査から、彼らの来日目的は家族の経済的サポートであるが、調査からは、自身の家族形成を行うためのさまざまな努力(フィリピン人パートナーと一緒になるための日本での滞在年数の調整や日本人パートナーと結婚するために帰化をする)や、フィリピンでの将来の生活のための節約と貯金の努力が明らかになった。日本で長期的に滞在することを願うEPAフィリピン人看護師の課題には、自身のキャリア発展のあり方とビザの制限(特定活動としての看護に限られる)、母国の家族(老親のケア)があった。 英国で働くフィリピン人看護師の経験分析からは、職場では英国英語の発音や表現、母国と異なる看護手順に慣れるストレスがあった。英語を公用語とするフィリピン人であっても、米国英語と英国英語の違いに強いストレスを感じていることから、日本語を学びながら仕事をする外国人に対する日本語のサポートの重要性が再度認識される。しかし、ロンドンのフィリピン人看護師を多く雇用する病院は、フィリピン人看護師が仕事をしやすい環境を整えていた。母国に比べ高い給与や、ゆとりある勤務時間、医者と対等に議論できる看護職の専門性やキャリア発展可能性はSWBを高めていた。一方、英国の病院には、仲介業者の不当な扱いや人種差別を禁じ公正を保障する法令が2014年に導入されたが、患者からの人種差別的態度、同僚からの曖昧な差別の扱いも観察された。 外国人労働者を受け入れるためには、彼らの家族を含めた生活の安定と職場でのやりがいを保証するための受け入れ病院の日本語のサポート、キャリア発展可能性、また差別や不公平に対する法的整備が求められる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、新型コロナの影響で、海外でのフィールド調査を進めることができなかったが、状況の許す限り国内の看護医療関係者へのインタビュー調査を行った。また、2019年度に英国で聞き取りをしたデータの分析を行い、フィリピン人看護師の英国における体験について論文にまとめた。EPAインドネシア人の日本体験の著書の英語抄録版を作成し、インドネシア人の調査協力者(保健省やBNPT2K、大学など教育機関、病院など関係者)に配布した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.研究調査については、コロナの状況をみながら、国内を中心に行う。在日フィリピン人介護福祉士の日本での仕事と家族形成について実態について分析を進めて論文にする。 2.在英フィリピン人看護師の英国での仕事における差別体験とその対応について分析をする。彼らのエンパワメントを促す外的要因と心理的要因について検討し、SWBの検討を行う。 3.在日フィリピン人介護福祉士と在英フィリピン人看護師の体験については7月開催のIAIR(International Academy for Intercultural Research)で国際学会の発表を行う。 4.SWBについての文献調査を進め、本研究から得られた知見について理論的な検討を行う。SWBについて得られた知見をもとに、外国人労働者のホスト国での領域別のSWBを検討するための項目を整理する。
|
Causes of Carryover |
コロナにより、海外での調査ができなくなったことが大きい。今年度は、コロナの状況の許す限り国内での調査を実施する。データのトランスクリプション、論文の英文への翻訳、国際学会での発表のための参加費と交通費に使用する。
|
Research Products
(5 results)