2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03200
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 友一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (30513147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 琢哉 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70582790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 組織 / silence / voice / 多元的無知 / 沈黙の螺旋理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は組織内において従業員の間で残業などに対するsilenceが維持される要因について検討することを目的としている。なお,ここでのsilenceとは,従業員が思っていることを発言しない沈黙を指す。これまで社会人を対象に実施した横断調査では,社会人の傾向として,組織内においては,何に関しても,互いに周囲は自分ほど肯定していないと捉え,そのために互いに肯定的な発言をせずsilenceが維持される可能性が示された。 以上の結果について,組織に入った後に社会的な環境の影響をどう受けてsilenceを維持するようになるのか検討することを目的とし,大学卒の新卒社会人を対象に2020年4月から縦断調査を開始した。1年後の2021年4月に2回目の調査を実施したが,統計解析を行うのに十分な数の回答が得られず,この調査の結果を2021年度のうちに発表する計画は延期せざるを得なくなった。そこで,調査会社に依頼して2021年4月から改めて調査を開始した。2022年4月には2回目のデータを得ることができたため,2022年度中には分析を終えて結果を発表する。 2020年4月から2021年4月の縦断調査については,データの数が不十分で結果を発表することはできなかったが,今後の参考とするために分析は行った。その結果,必ずしも入職時の回答者の考えがそのまま入職1年後の回答者の考えを予測するとは限らない可能性が示唆された。具体的には,忙しい時に別の仕事を頼まれた際に事情を説明して断ることについてどの程度賛成かという項目について,社会が否定的であると入職時に認知しているほど,入職1年後の回答者自身は肯定的になることが示された。ただし,そのような場面で実際に断るかと質問した場合にはこのような結果は見られなかった。したがって,一部ではあるが,冒頭に示したsilence維持メカニズムが存在する可能性はある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データの不足からやり直した縦断調査は分析に必要な分のデータが回収できた。しかし,社会人とは別に予定していた中高生等の学生を対象とした調査は,新型コロナウイルスによる社会状況を考慮してさらに延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
社会人対象の縦断調査についてはデータを得ることができたため,分析を行って結果を発表する。中高生対象の調査についても計画を変更して調査会社への委託に切り替えて実施する。
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Causes of Carryover |
当初の計画の通りではデータが十分に収集できないため,調査会社への委託に切り替え,予算はその委託費用に用いる。
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