2023 Fiscal Year Annual Research Report
婚活での配偶者選択における社会的情報の役割に関する進化心理学的研究
Project/Area Number |
19K03207
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
天野 陽一 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (90571886)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 婚活 / 配偶者選択 / 社会的情報 / mate-choice copying / 進化心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,婚活という現代社会に特有の配偶者選択に焦点を当て,異性を結婚相手として評価する際に「可視化された他者からの評価」の情報がどのような影響を及ぼすのかについて明らかにすることを目的としたものである。 最終年度となる 2023 年度は,前年度までとは異なる婚活場面として婚活パーティーを取り上げ,社会的情報の種類および伝達方法の違いによる影響を検討し,社会的情報にもとづいた配偶者選択のモデルの精緻化を試みた。25 ~ 34 歳の未婚女性 1,000 名を対象とした場面想定法による Web 実験を行い,婚活パーティーにおける男性への結婚相手としての評価が他の女性参加者からの人気の程度によって影響されるかを検討した。他の女性参加者から関心を向けられた男性は評価が上がり,関心を向けられなかった男性は評価が下がるという結果が得られた。この研究成果については日本社会心理学会第 65 回大会で発表を予定している。 研究期間全体を通して,女性が男性の配偶魅力を評価する際には,従来から議論されてきた身体的魅力や社会経済的地位の要因に加えて,他の女性による評価といった社会的情報も影響することが示された。マッチングアプリや婚活プロフィールに表示されている「いいね!」は女性からの人気をあらわす指標となり,おもに身体的魅力が低いことによる不利をカバーする方向で男性の評価に影響していた。婚活パーティーのような対面状況においても,他の女性参加者が示した関心の程度によって男性の評価が影響を受けていた。婚活という現代の配偶者選択では,身体的魅力や社会経済的地位といったプロフィール情報だけでは望ましさを判断することが難しく,他者からの評価という社会的情報を利用して配偶者としての資質を推測していると考えられる。
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