2020 Fiscal Year Research-status Report
Detecting and correcting for response bias in Web-based data
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19K03209
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
田崎 勝也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (00350588)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応バイアス / レスポンス・スタイル / Web調査 / インターネット調査 / Satisficing / 無気力回答 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本心理学会第84回大会(2020年10月オンライン開催)において「Web調査データの反応バイアスおよびSatisficeの検出とその補正」を発表した。当研究では、調査会社に依頼して入手した全国2,000名のデータを対象に、Weijters et al. (2008) の反応バイアスの測定モデルを適応し、質問項目への反応に潜む3種の反応バイアス(黙従反応、極端反応、中間反応)を測定した。本研究ではさらにこれらの反応バイアスに加え、Satisficingと呼ばれる無気力回答もバイアス因子として測定した。分析の結果、反応バイアスとSatisficingバイアスは相互に独立したバイアスであることが明らかになった。また中間反応因子とSatisficing因子間には中程度の相関性が見られ、無気力回答の結果として中間選択肢を選択する傾向が示された。ところでWeijters et al. の測定モデルには共変量としてバイアスを統計的にコントロールする補正機能がある。そこで調査データに含まれる5項目からなる幸福感モデル(SWLS) (Diener et al.,1985)を対象に、データとの適合度がどのように変化するのか検討したところ、4因子のバイアス因子モデルと合わせて推定すると、SWLSのフィットは大幅に改善することが明らかになった。 その他2020年度は道具的-自己充足的コミュニケーション尺度を作成し、その信頼性・妥当性を検討した論文がJapanese Journal of Communication Studiesに採択された。当研究では高次因子モデルを駆使して因子モデルの階層構造の観点から因子的妥当性を検討しているが、双因子モデル(Bifactor model)によるバイアス補正の適否を検証する前段階の研究として、今後の研究で重要な意味をもつと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の研究計画では「反応バイアスの種類と強度に関して,学生から収集したデータと比較し,回答モニターの特性を明らかにすること」とされていたが、2020年度はコロナ感染症拡大の影響で、大学の授業がすべてオンラインになったため、学生からのデータ収集に大幅な遅れが発生している。 また感染症拡大のため、20年度は国内外への出張が大きく制限された。統計研修会へ参加だけでなく、研究発表を予定していた国内外の学会出席も難しい状況となった。 以上、コロナ感染症拡大による学術活動の制限が当研究プロジェクトの進捗の遅れの主たる要因だった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究課題は「共分散構造分析を援用したRIRSMACSモデル(Weijters, Schillewaert, & Geuens, 2008)を用いて,反応バイアスの制御・統制する方法を検討すること」であるが、コロナ感染症拡大の影響で、5月時点で大学の授業の大部分がオンラインに戻っており、学生からのデータ収集が引き続き困難な状況にある。現時点では感染症の影響ならびに大学の授業形態の状況を見守るしかないが、場合によっては、研究期間の延長申請や研究計画の見直しをする必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
「旅費」の出費が予定金額に達していない点については、コロナ感染症拡大の影響で、国内外の学会出席等の出張ができなかったためである。 また「人件費・謝金」について支出がゼロになっているが、今年度はまず基礎的なデータ処理を研究代表者自身で行ったため、計上していた研究協力者への謝金(共分散構造分析を用いた統計処理)は発生しなかったことによる。
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