2022 Fiscal Year Research-status Report
Detecting and correcting for response bias in Web-based data
Project/Area Number |
19K03209
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
田崎 勝也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (00350588)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 反応バイアス / レスポンス・スタイル / Web調査 / インターネット調査 / Satisficing / 無気力回答 |
Outline of Annual Research Achievements |
22年度は3件の学会発表を行った。一件目は日本コミュニケーション学会第51回大会(2022年6月オンライン開催)で発表した「係留寸描法を用いた回答バイアスの検出および補正の試み」である。学生215名の痛みに対する質問の項目反応に対して、係留寸描法を用いて回答バイアスの補正を行ったところ、尺度の不定性によって生まれる痛みに対する過大評価は係留寸描法により適正に修正できることが示された。二件目は日本行動計量学会第50回大会(2022年8月沖縄市で開催)で発表した「反応バイアスは何によってもたらされるのか:調査ツールおよび回答者属性の比較」である。4つの調査状況(回答モニターによるWeb調査、回答モニターによる紙面調査、学生によるWeb調査、学生による紙面調査)における反応バイアスの発生頻度や強度を比較した。統計解析から(a)調査モード・回答者属性問わず中間反応が最も顕著な反応バイアスであること、(b)黙従反応は回答モニター紙面調査と学生調査で顕著で研究者との心的距離が近く感じられる調査状況で顕在化すること、が明らかになった。三件目は日本応用心理学会第88回大会(2022年9月京都市で開催)で発表した「反応スタイルとSatisficeの関係性を探る:Web調査での回答モニターおよび学生の回答行動の比較を通して」である。この発表では反応バイアスと手抜き回答として知られるsatisficingの関係に関して、調査会社に依頼して入手した全国2,000名のデータと学生から収集した183名のデータを比較した。Weijters et al. (2008) の測定モデルを適応し、三種の反応バイアス(極端、黙従、中間)に加え、無気力回答をバイアス因子として測定した。分析の結果、反応バイアスと無気力回答は相互に独立したバイアスであり、中間反応バイアスには反応スタイルにより生じるものと無気力回答に起因するものがあることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症拡大による学術活動の制限が当研究プロジェクトの進捗の遅れの主たる要因である。特に当初の3年計画で最終年度に行う予定であった国際学会での研究発表が渡航制限のために為されていない。データ収集および統計解析はほぼ終了しているので、今後は研究成果の学会発表および論文投稿の準備を主眼に当プロジェクトの完結に向けて注力したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の目標は研究成果の国際学会での発表および学会誌への論文投稿の準備である。具体的には8月に韓国・水原で開催予定の韓国心理学会および9月にオーストラリア・シドニーで開催されるJSAA-ICNTJ2023(豪州日本研究学会研究大会)への参加および研究発表を計画している。投稿論文に関しては、「心理学研究」「社会心理学研究」「行動計量学」などの学術研究雑誌を念頭に、投稿の準備を進めたい。
|
Causes of Carryover |
「旅費」の出費が予定金額に達していない点については、コロナ感染症拡大の影響で、海外の学会出席等の出張ができなかったためである。また「人件費・謝金」について支出がゼロになっているが、論文執筆に伴う英文校正等が発生しなかったためである。これらの経費は2023年度にスライドして、旅費・英文校正費用として使用予定である。
|