2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03216
|
Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
小川 一美 愛知淑徳大学, 心理学部, 教授 (70345875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (30467500)
藤原 健 大阪経済大学, 人間科学部, 講師 (00707010) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 解読 / 日本人 / 課題遂行型テスト / 対人コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,他者の感情,意図,状況などを読み取る「解読力」を測定するための,日本人用の課題遂行型テストを作成することを目的としている。課題遂行型テストとは,実際に刺激を呈示し,その刺激人物の感情状態や意図等を判断させる形式のテストである。 2020年度には,日本人用解読テストに使用する刺激について研究分担者および研究協力者と議論を重ねた。その結果,Fujimura & Umemura (2018) によるAIST顔表情データベース2017の顔表情刺激を採用することが最善であるという結論に至った。当初の計画では独自に刺激を撮影し作成する予定であったが,Fujimura & Umemura (2018) による顔表情刺激は本研究が目的の一つにしていた日本人による刺激であり,刺激作成手順も非常に精緻化されていたことから,AIST顔表情データベース2017を採用することとした。また,新型コロナウイルス感染症拡大により協力者や撮影者などを参集し刺激を撮影することが困難であったことも理由の一つである。さらに,AIST顔表情データベース2017は公表されているものであることから,将来的に本研究で作成するテストを他の研究者らが使用したい場合にも利便性が高いと判断した。なお,AIST顔表情データベース2017の使用に関してはデータベース作成者らの承諾を得ている。 AIST顔表情データベース2017には,920の顔表情刺激(動画と静止画)が収録されていることから,現在はどのような基準のもといずれの顔表情刺激を採用するかを検討している段階である。具体的には,Noldus社のFaceReaderというソフトウエアを用いて全刺激の表情出現度およびAction Unitの発動や強度を計測し,その結果の分析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画時点では,2020年度前半までに日本人用解読テストを作成し終え,2020年度後半からテストの信頼性および妥当性の検討のための実験等を進める予定であった。しかし,2019年度末頃からの新型コロナウイルス感染症拡大により,協力者や撮影者などを参集し刺激を撮影することが困難となった。そこで,利用可能な日本人による顔表情刺激など他のデータベースや研究知見が存在しないか再度調べ直し,AIST顔表情データベース2017(Fujimura & Umemura, 2018)を使用することとした。この過程に時間がかかり,現時点ではまだテストが完成していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.日本人用解読テストの完成 AIST顔表情データベース2017には,920の顔表情刺激(動画と静止画)が収録されていることから,現在はどのような基準のもといずれの顔表情刺激を採用するかを検討している段階である。具体的には,Noldus社のFaceReaderというソフトウエアを用いて全刺激の表情出現度およびAction Unitの発動や強度を計測し,その結果の分析を行っている。 2.日本人用解読テストの信頼性と妥当性検討 作成したテストの信頼性と妥当性の検討のため,類似ターゲットを測定しうる既存のテストや尺度との関連や,解読に影響を及ぼすことが明らかになっている多特性との関連等について実験や調査によりデータ収集を行う。なお,計画の時点から,実験室等での対面による実施だけではなく,インターネットを利用してデータ収集を行うことも予定していたが,その必要性が増してきていることからWeb実験や調査を積極的に行う予定である。 ただし,上記を残り1年の研究期間内に完了させることは困難であることから,研究期間(補助事業期間)の1年延長申請を検討している。
|
Causes of Carryover |
2020年度には,アメリカ在住の研究協力者を日本に招聘し専門的知識の提供を求めるための旅費,テスト作成準備や,国内学会での研究発表のための研究代表者および研究分担者の旅費などを計画していたが,新型コロナウイルス感染症拡大によりいずれも実施できず支出しなかった。また,研究が遅れていることにより実験実施まで至らず,実験準備および実施に係るアルバイト雇用や実験参加者への謝金なども支出されなかった。独自に刺激作成をすることを中止したため,撮影・編集作業の委託費なども不要となった。また,2020年度中に研究分担者1名が国外の大学に所属変更になったことにより研究分担者から外れたため,使用予定だった費用が残った。以上のことが繰越金発生の理由である。 2021年度は請求した金額と繰り越された額を合わせて執行するが,日本人用解読テストの信頼性と妥当性の検討のための実験を複数行うため,実験準備に係るアルバイト雇用や実験参加者謝金,オンライン調査委託費等が必要になる。オンライン実験に必要なソフトウエアの購入費や契約費も必要となる。また,台湾在住の研究協力者(元研究分担者)や国内の他の研究協力者との打ち合わせのための旅費,研究成果発表のための大会参加費等も必要となる。
|
Research Products
(2 results)