2021 Fiscal Year Annual Research Report
日本人は何を変えたくないのか:変化への抵抗を生み出す諸要因の解明
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19K03218
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
村山 綾 近畿大学, 国際学部, 准教授 (10609936)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変化への抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、これまでに収集したデータの分析結果から得られた知見を、Asian Association of Social Psychologyのシンポジウムや日本社会心理学会大会にて発表した。また、3回の国内調査を実施し、日本人がどのような社会的変化に否定的なのか、そして、さまざまな社会変化の中でも、集団の結束に関わる事項について相対的に変化を受け入れにくい可能性や、それらと関連する個人要因について検討した。まず、都市部と地方を対象とした調査の結果、婚姻にかかわる制度の変化(同性婚、選択的夫婦別姓を認めること)は、地方在住の回答者よりも都市部在住の回答者の方で受け入れる程度が大きかったが、この関係を関係流動性が媒介している傾向が示された。マイノリティ支援(生活保護世帯、移民、女性、子ども)や、医療や雇用(医療AI導入、副業の許可など)に関わる変化に対しては、このような媒介効果は見られなかった。また、都市部と地方を合わせた全体で、上記の事項に関して変化を受け入れる程度はマイノリティ支援で最も低かった。そして、日本社会のシステムを正当であると認識しているほど、婚姻にかかわる制度や、医療や雇用に関する変化を受け入れる程度が低いという結果が見られた。これらは一部、本研究の仮説を支持するものとなっていた。本研究を通して、様々な社会変化の中でも、それを受け入れることへの抵抗がある事項が存在すること、またそれは、婚姻関係やマイノリティ支援など、集団の結束に関わる事項である可能性が高いこと、そしてその背景には関係流動性やシステム正当化認知が存在しうることが示された。
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Research Products
(2 results)