2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of school-based prevention and sustainable care system to develop students' social bond and sense of security
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19K03222
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 一子 筑波大学, 人間系, 教授 (40206264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幅崎 麻紀子 埼玉大学, 研究機構, 准教授 (00401430)
石隈 利紀 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (50232278)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 持続的ケアシステム / ピアサポート / 安心感 / 共感性 / 学校予防教育 / 中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,いじめ防止予防教育として中学校におけるピアサポート活動の指導と展開を行いその効果を検討することである。具体的には①ピアサポート尺度の開発(研究1),②協力実践校と非実践校のピアサポートの比較検討(研究2),③ピアサポートの半年間の変化の縦断的効果検討(研究3),が目的とされた。 調査対象は協力実践校1校,非実践校2校計3校の中学生835名(男子407名,女子428名)で,研究1は全中学生,研究2は実践校248名,非実践校2校587名,研究3は実践校248名が対象であった。測度は①ピアサポート授受,②安心感,③社会的絆,④学校適応感,⑤学級風土,⑥ソーシャルサポート,であった。実践校では各クラスの代表生徒が年8回のサポートトレーニングに参加し,その後,各学級,学年,学校全体へと活動が展開された。 研究1の結果から,ピアサポートは道具的サポートと情緒・共感的サポートの2因子が抽出され,下位尺度間相関は高く,内部一貫性も高かった。テスト・再テスト相関は.5から.6で,ピアサポートとソーシャルサポートの相関は.53,他の尺度との相関も一定の値が得られ信頼性と妥当性が確認された。研究2では実践校と非実践校が比較され,女子のサポート授受が男子より,非実践校より有意に高かった。研究3では,サポート授受得点で対象者は上位1/3,下位1/3に分けられ半年間の縦断的変化が検討された。その結果事前事後と群間の交互作用が示され,事前は高群が低群より有意に得点が高いが事後は低群の得点が上がり差が無くなること,縦断的検討から低群の得点が有意に上昇することが示された。 以上の結果からピアサポート尺度の信頼性と妥当性が確認され,ピアサポート活動の実践は特にサポート授受が少ない生徒に有効であることが示唆された。今後は学校全体の取り組みとしての一層の定着とシステム構築が次の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね計画通りに進んでいたが,コロナウィルス感染予防のため学校が休校になった関係から,最後の2019年度のまとめの取り組みが実施できなかったため,やや遅れているとした。 ピアサポートを通した予防教育の支援実施に関してほぼ予定通りであったが,今年度のまとめとしての計画していたピアサポートフォーラム(中学校2校開催,教師・保護者・卒業生参加の共同計画)が行えなかったこと,さらに事前事後の比較で重要となる年度末の調査が一部行えなかったことにより,研究上支障が生じた。 2020年度は,2019年度3月に実施予定であったフォーラムを開催し,学校教育現場でのピアサポート活動の浸透,ケアシステム構築にむけた教員と学校全体の理解と教育に取り組んで行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するため,2019年度の研究を継続し,さらに教師と学校のピアサポート活動への理解,協力を推進し,学校全体の取り組みへと進めること。 昨年末,コロナの影響から,年度最後に行う予定であったピアサポートフォーラムが開催されなかった。 そのため,今年度は特に,ピアサポートからケアシステム構築を主な課題(研究目的)としてフォーラムを開催し,関係者全体によるピアサポート実施の効果検証を行い,ピアサポート継続的な実践実施校と昨年度から開始した実践開始校のピアサポート活動の2校を比較し,さらに教員,学校管理職,保護者,さらに卒業生参加による,中学校でのピアサポート活動の取り組みの成果を確認し,今後の活動の改善点を討議し,よりよい活動の継続と発展へとつなげたい。
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Causes of Carryover |
本年度,使用額が残ったのは,年度末の使用予定のフォーラム開催,一部,調査実施ができなかったためであり,2020年度にフォーラム開催に向けて準備を進めたい。
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Research Products
(7 results)