2019 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド型ベイズアプローチによる単一事例実験のための標本サイズ決定法
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19K03224
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
奥村 太一 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90547035)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 単一事例実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pustejovsky et al. (2014) による効果量の定式化に従って、実データをもとに特定のデータ収集計画下での信頼区間幅の予測および検定力の推定を行った。具体的には、Schutte, Malouf, & Brown (2008) による慢性疲労症候群の患者に対する情動焦点型セラピーの効果を多重ベースラインデザインにより検証したデータを予備データとして、これをもとに事後予測分布から将来得られるデータセットを発生させて信頼区間幅の予測値および検定力の推定値を得た。モデルには Pustejovsky et al. (2014) による MB3(切片を変量効果とし、切片の差、トレンド、トレンドの差を固定効果として含む線形回帰モデル)を採用し、2,000 セットの結果変数行列を発生させた。10人×10時点(合計100データポイント)の計画行列と結果変数行列を合わせたデータについてそれぞれ MB3 モデルを当てはめて REML 推定を行い、効果量の推定値および 95% 対称信頼区間を算出した。その結果、効果量の信頼区間幅は平均で1.58、検定力は 59.45% となった。この規模のデータで多重ベースラインデザインに基づく効果検証を計画した場合、広すぎる信頼区間幅と低すぎる検定力のために十分に高い精度を維持した議論を行うことは難しい。一方で、事例研究の性質ゆえに統計的に望ましいと判断できる規模でデータ収集を計画することは必ずしも現実的ではないとも考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
翌年度以降の研究遂行にあたって参考となる十分な知見が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実データを用いた事後予測分布からのデータ発生と分析手続きを通じていくつかの課題が見出された。これを解消しながら、MB1-MB5 に対応できる関数作成にまずは取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19 により研究集会等が中止になり、当初計上していた旅費が不要となったため。一方で、学会のオンライン開催などに対応するために新たに ICT 機器等の購入が必要になることから、翌年度以降の研究遂行のために適切に使用する。
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