2019 Fiscal Year Research-status Report

Preparing-to-teach for enhancing the learning effects of teaching

Research Project

Project/Area Number	19K03225
Research Institution	Shizuoka University
Principal Investigator	小林敬一静岡大学, 教育学部, 教授 (90313923)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	教授による学習 / 教授準備学習 / ピアチュータリング / 教授的説明
Outline of Annual Research Achievements	2019年度は次の研究を実施し成果を得た。 (1)教授準備フェーズの学習活動と教授フェーズの直接教授過程の相互作用に関する実験的研究：教授による学習に，教授準備（対テスト準備）の学習，学習者に対する最初の説明，学習者との教授学習相互作用がそれぞれどのような影響を及ぼすか明らかにする実験を実施した。その結果，最初の説明と教授学習相互作用中に産出された説明が学習を有意に説明すること，教授準備学習は有意な説明変数ではないことが示された。この実験結果を論文にまとめ，国際誌に投稿した（現在，査読中）。 (2)教授準備と教授が学習に及ぼす効果の心理的メカニズムに関する理論的研究：教授準備による学習と教授による学習を対象にした実証的・理論的研究を広くレビューし，教授準備と教授が学習に及ぼす効果を心理学的に説明した考えを独自の観点から整理し，５つの仮説（知識構成仮説，動機づけ仮説，説明生成仮説，メタ認知仮説，検索練習仮説）にまとめた。この研究の成果をレビュー論文としてまとめ，国内の学会誌に投稿した（現在，査読中）。 (3)教授準備学習の効果に関するミニ・メタ分析：(1)の成果を踏まえ，国内で発表された実証的研究を中心にして，教授準備の学習効果に関するミニ・メタ分析を実施し，日本の学生の場合，学生任せの教授準備には学習効果が見られない可能性を示した。この研究の成果は大学紀要論文としてまとめ発表した。 (4)協同的教授準備の学習効果に関する実験的研究：(1)～(3)の成果を踏まえて，教授準備による学習の効果を高める方法として協同的教授準備に着目し，その効果を検証する実験を実施した。現在，その実験で得られたデータを分析中である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 「おおむね順調に進展している」と判断したのは，次の理由による。 (1)研究実施計画に基づき，教授準備フェーズの学習活動と教授フェーズの直接教授過程の相互作用に関する実験的研究を行い，論文としてまとめることができた。 (2)本研究課題の理論的基盤となる研究を実施し，レビュー論文としてまとめることができた。 (3)(1)で挙げた研究結果を説明しさらに進展させる研究として，ミニ・メタ分析を実施し論文にまとめるとともに，追加の実験研究を実施した。
Strategy for Future Research Activity	今後の研究の推進方策として，次の２点が挙げられる。 (1)協同的教授準備の学習効果に関する実験的研究で得られたデータを予備的に分析した結果，（教授準備フェーズの学習活動と教授フェーズの直接教授過程の相互作用に関する実験的研究やミニ・メタ分析で教授準備の学習効果が認められなかった）日本の大学生を対象にした場合であっても，協同的教授準備であれば，教授準備による学習活動で一定の学習効果を上げることができる可能性が示された。今後は，分析を進めて予備的分析の結果を確認するとともに，追加の実験を行い，協同的教授準備が学習効果を生み出す心的メカニズムや条件を探る。 (2)(1)を踏まえて，協同的教授準備と教授による学習を実践場面で実施するための方法を具体化し，その効果を検証する実践研究を実施する。そして，学習効果を最大化するためのデザインを探る。