2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03226
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝川 藍 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (50633492)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感情理解 / 文化差 / 幼児期 / 児童期 / 感情の社会化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要な目的は,感情理解テスト(Test of Emotion Comprehension,以下TEC;Pons & Harris, 2000)の枠組みを用いて日本の子どもの感情理解の測定に適した指標(日本語版感情理解テスト;以下TEC-J)を作成し,これを用いて幼児・児童の感情理解の発達プロセスとその文化差を明らかにすることである。 2023年度も,国内の研究協力者3名(京都大学 子安増生名誉教授,静岡大学 古見文一講師,愛知淑徳大学 蒲谷槙介准教授)と連携して研究を行った。これまでの研究成果をふまえて,TEC-J作成のための成人対象の調査,作成中のTEC-Jを活用した児童対象の調査,応用研究として教師対象の調査を実施した。まず,すでに実施済みの大学生調査から得られた知見の一般化可能性を検討するために,より幅広い年齢の成人700名(20~59歳)を対象に調査を実施した。オリジナルのTECで設定されている「正答」と成人の回答の一致率を算出し,大学生調査と同様の知見が得られることを確認した。児童対象の調査では,対面形式のTEC-Jをもとに作成した質問紙版TEC-Jを用いて,小学1~6年生330名を対象に質問紙調査を実施し,感情理解とQOLの関連についての検討を行った。その結果,感情理解ができる児童ほど良好な学校生活を送っていることや,女子においては感情理解ができる児童ほど仲間関係が良好であることが示された。応用研究としては,将来の研究の展開を見据え,子どもの感情表出に対する教師の対応の個人差を測定する尺度(教師用CCNES)の日本語版を作成し,その信頼性・妥当性の検討を行った。さらに,海外の研究協力者であるFrancisco Pons教授(ノルウェー,オスロ大学)と研究打ち合わせを実施し,感情理解の発達の文化差についての議論と今後の研究の展開についての話し合いを重ねた。
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