2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03227
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
南 学 三重大学, 教育学部, 教授 (60309713)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | クリティカル・シンキング / 非認知的要因 / やりぬく力 / セルフコントロール / 社会的スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、社会的および論理的クリティカルシンキング志向性に関して、非認知的能力がどう関わるのかについて、とくにまだ検討していなかった非認知的能力の影響について検討した。具体的には、前年度までの研究で「やりぬく力」の影響について検討したが、これ以外の「セルフコントロール」や「社会的スキル」の影響について検討していなかった点を、今年度は実証的に検討をおこなった。結果は、クリティカルシンキングを多少苦労してでも実施したいかという「クリティカルシンキング志向性」に関して、「セルフコントロール」と「社会的スキル」が高い者が必ずしも単調に志向性を高めるとは限らないということを見出した。これらの非認知的能力はクリティカルシンキング志向性を高めると期待されたが、逆に低下したり、中程度の者の方が高くなったりと明確な効果は出なかったことがわかった。 もちろん、半期の講義の中での効果が見られなかっただけで、継続的なセルフコントロールによって将来的には促進効果をもつ非認知的能力である可能性も残されているが、思っているほど明確な効果が出るものではなかった可能性もある。ただし、講義形式の授業では伸ばせない批判的思考力であるのかもしれないので測定対象の精査が今後の検討課題となるだろう。 研究成果は本学の学部紀要に「クリティカルシンキング志向性を高める非認知的能力-セルフコントロールと社会的スキルの検討-」として執筆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で2年間延長したが、当初予定していた社会的および論理的クリティカルシンキング志向性に及ぼす非認知的能力の検討については一定の検討が終わったと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、非認知的能力が及ぼす影響について、なぜ効果が見られなかったのかという点について考察を深めていくことが必要であると思われる。当該分野における文献を収集し、同様の結果が得られているのかや考察の糸口となる知見があるのかについて検討する必要があるだろう。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で対面授業が実施できず、調査が困難と思われたため、使用を延長した。翌年大講義を複数担当し、被験者を確保し、調査をおこなった結果一定数を確保できたため、分析を始める予定である。 結果の分析にあたり、より早い処理が可能なPCの購入に使用する予定である。
|