2019 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラムがある人の会話と対人関係の特性とその発達過程
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19K03236
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
浅田 晃佑 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (90711705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / コミュニケーション / 対人関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、自閉スペクトラム症児者と定型発達児者を対象に、他者の発言の真偽の評価の研究を行った。申請書でも記したように、会話や対人関係について、幅広い年齢の人を対象に同じ方法を用いてその変化を調査することは発達過程を理解する上で重要である。子どもでも回答可能な絵を添えたストーリーを用いた実験を行ったことにより、小学生から大人まで幅広い年齢の対象者に実際に調査できたことは成果である。参加者には、絵を見ながら、ストーリーを聞いてもらい、登場人物の発言の真偽の判断とその発言の善悪の判断を行ってもらった。研究結果は、ストーリーの種類による全体的な善悪判断のパターンは自閉スペクトラム症児者と定型発達児者の両グループで似通っていたものの、いくつかの点で判断の違いが見られた。具体的には、「良いと思ったことを正直に伝える」場合で、自閉スペクトラム症児者は定型発達児者よりも高い評価をし、「悪いと思ったことを正直に伝える」場合で、定型発達児者は自閉スペクトラム症児者よりも高い評価をしていることが分かった。今後は、更に年齢ごとの変化などを細かく検討していき、それらを論文としてまとめていく必要がある。以上の研究成果は、日本発達心理学会第31回大会に抄録として提出された。 また、自閉スペクトラム症児者の対人関係に関わる身体理解の研究成果について、本のコラムとして研究成果をまとめ公表することができた。このコラムでは、パーソナルスペースやボディイメージといったトピックについて研究内容を紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由として、申請書に記した、小学生から大人まで幅広い年齢に対して同じ方法で実験しコミュニケーションの発達過程を調査するという研究計画が実際に実施できたことにある。また、主要な分析は終了し、学会発表の抄録として投稿できるまで研究結果をまとめることができたことも理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度予定していた対面での心理実験は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためオンライン調査に方法を変更して行う予定である。それに伴い、その方法で調査可能な調査対象者の年齢を検討する必要がある。 また、昨年度までで、既に論文として投稿できるデータが準備でき始めていることから、解析及び執筆を積極的に行い、自閉スペクトラム症児者のコミュニケーション発達の解明を促進させたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、実験を共同で行ったため予想よりかかる費用が少なかったためと論文の完成に時間がかかったためである。また、年度末に予定していた出張が新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、中止になったことも影響している。 使用計画は、準備中の論文の英文校閲費用と投稿費用などに充てる予定である。
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Research Products
(2 results)