2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラムがある人の会話と対人関係の特性とその発達過程
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19K03236
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
浅田 晃佑 東洋大学, 社会学部, 准教授 (90711705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / コミュニケーション / 対人関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、自閉スペクトラム児者と定型発達児者を対象に、グライスの格率に基づいた会話の違反への感受性について調査した。それにより、参加者が会話の格率をどのように守ることが適切であると考えているのかを知ることを目的とした。本年度は、当初の研究計画にもあった対面の心理実験も実施でき、また、年長の参加者についてはオンラインも併用した。①関連性(話題と関連したことを答えているか)、②質(真実を答えているか)、③量1(伝える情報量は少なすぎないか)、④量2(伝える情報量は多すぎないか)、⑤ポライトネス(丁寧な表現で伝えられているか)というグライスの格率について、それを違反した際におかしいと思う度合いを参加者に回答してもらった。年少者を対象とした対面参加では、パペットが会話する様子を見てもらい、パペットの回答がどの程度おかしいかを回答してもらった。年長者を対象としたオンライン参加では、会話を文章にしたものを読んでもらい、回答してもらった。その結果、両研究で共通して、自閉スペクトラム児者は定型発達児者よりもポライトネスの格率違反により強く違和感を検出することが分かった。 また、自閉スペクトラム者と定型発達者のパーソナルスペースの縦断変化について、以前行った研究に関する論文が受理された。この研究では、3年の経過後も、自閉スペクトラム者の対人距離が定型発達者の対人距離よりも短いということを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、当初計画していた対面の心理実験がこれまでできなかったことが主な理由である。しかし、2023年度からは対面実験が再開でき、計画の進展がみられたことは評価できる。また、論文が受理されたことも評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の流行の影響で実施できなかった対面の心理実験が2023年度は再開できたことから、引き続き、オンライン調査と並行して、対面実験を行い、研究参加者の増加と研究参加者のニーズに合った研究実施を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、研究計画の一部について、オンラインに変更したことやオンライン調査を共同研究により実施したため、かかる費用が予想より少なかったことによる。成果は蓄積されてきているため、今後、論文の英文校閲や投稿費用に使用する計画がある。
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